いままでのところで、琉球弧の他界と神について分かっていることを図解する。
まず、明瞭に認められるのは霊魂思考による地下の他界。そして、それが霊力思考と混融したために海底、海上へと伸びた他界。ここで、方位は、東西を取ることが多いが、南北を排するものではない。東は豊穣、西は死者の方位と見なされることが多い。
また、海上に伸びる以外にも、山中などの地上の他界の痕跡もみられる。これも霊魂思考と霊力思考の混融の結果だ。この場合、東という方位とは関係ない。
三十三年忌あけに天に昇るという声もあるが、それが系譜を持つほどの厚みをなすのか、古代の琉球弧に存在しかは確信が持てないので、天上の他界は設定しなかった。棚瀬の収集した資料では、南太平洋では、南オーストラリアとポリネシア、東南アジアに天の他界が認められる。しかし、東南アジアのそれはヒンズー教やイスラム教の影響を受けたもんであれば、琉球弧への流入は想定しにくい。
青に塗らなかった部分には、他界の方位がないというだけでなく、他界が存在しないという思考も強いことを示したかった。
神は、高神と来訪神のいずれもが認められる。来訪神がやってくる方位は、地下と海の彼方、どちらも表象されている。