伊計島仲原遺跡の他界
仲原遺跡は、伊計島の石灰岩台地上中央部に立地する。23基の竪穴住居跡が検出され、7期の竪穴住居内から、計8体分の人骨も検出されている。墓構造が判明しているのは1号住居のみ。1号住居中央部の床面を破壊して、土坑が掘り込まれた廃屋墓で、40cm大程度の平坦なテーブルサンゴを右腕側に置く置石土壙墓である(新里貴之「琉球列島における埋葬遺跡の文化的景観」)。...
View Article「琉球列島における先史時代の崖葬墓」(片桐千亜紀)2
具志川島岩立遺跡の人骨からは、「乾燥骨」のほか、「焼骨」、「火葬骨」も検出されている。 片桐は書いている。(前略)崖葬墓では骨化した骨そのものを火で焼いて再葬する葬法や、軟部組織が残った状態で火葬する葬法が営まれていたことがわかる。全体が24事例と考えるとたった2事例は希少な葬法であるが、その数よりもこのような葬法が貝塚時代前期と後期にわたって行われていたことに着目したい。...
View Article胎土の南北
「胎土分析から見た下田原式土器」(山崎真治、仲里健、仲座久宜「沖縄県立博物館・美術館博物館紀要 / 沖縄県立博物館・美術館 編」2012)。これを、「沖縄島南部における先史土器胎土の長期的変化に関する一考察」(山崎真治、仲里健「日本考古学」2015)に突き合わせてみる。 下田原式土器の胎土。 A:チャート、ホルンフェルス 富崎層 B:片岩 トムル層 C:石英 火成岩(野底層、於茂登岳の深成岩類)...
View Article下田原貝塚土器と隆帯文系土器
山極海嗣は、下田原貝塚のみで現れる土器形態に言及している(「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明 : 遺跡属性と生態資源利用の地域間比較を通した文化形成の考察」)。下田原貝塚(1983-85)のみ例外的にこれら 3 類型に加え、口縁に向かって内湾する器形が口唇部で直口に立ち上がり、口唇部外面に凹みを有しやや外反するという、3 類型には含まれない口縁形態を確認することができる。...
View Article「沖縄島南部における先史遺跡の分布と立地について」(山崎真治)
山崎真治は、先史時代の遺跡立地について、糸満と南城との地形のちがいを指摘している(「沖縄島南部における先史遺跡の分布と立地について」(「沖縄県立博物館・美術館博物館紀要 沖縄県立博物館・美術館 編」2011)。...
View Article与那国島大泊浜貝塚の焼土製品
与那国島の大泊浜貝塚で出土した「焼土状製品」の胎土分析が行われている(「胎土分析から見た下田原式土器」「付編 与那国島大泊浜貝塚採集焼土状製品(仲座採集標本)の胎土分析」(山崎真治、仲里健、仲座久宜「沖縄県立博物館・美術館博物館紀要 / 沖縄県立博物館・美術館...
View Article無土器期の石斧と蟹
『石垣市史考古ビジュアル版第2巻』(石垣市総務部市史編集課編、2008)から、無土器期の石斧の特徴をタイプと特徴を抽出してみる。 1.短冊形で、両側面に平面があり、片切刃を持つ。とても肉厚で鋭い刀部を持つ。 2.両側面に平面があり、片切刃を持つ。扁平な方形片刃で、とても鋭い刀部を持つ。 3.両側面に平面があり、片切刃を持ち、蛤刃を持つ。類例が少ない。...
View Article下田原期の土器文様と口縁部形態
これだけで何が判断できるわけでもないが、下田原期の土器文様と口縁部形態の類型を対応させてみる(『石垣市史考古ビジュアル版第1巻』(石垣市総務部市史編集課編)。 ぼくたちが、貝の可能性を見たのは、2になるわけだが、「縦耳」は分からないとして、「指頭押圧紋?」「縦位爪形紋」は、「貝」ではなく、「トカゲ」にふさわしい文様だ。バリエーションはあっても、これらはやはり「トカゲ」と見なしてよいのかもしれない。
View Article「八重山民謡に見るヒトとカニとのかかわり」(武田淳、大山己)
「八重山民謡に見るヒトとカニとのかかわり〔含 コメント〕」(武田淳、大山己「季刊人類学」1989)は、「網張(アンパル)ヌ目高蟹(ミダガーマ)ユンタ」のカニたちを分析している。...
View Article「沖縄新石器時代前Ⅳ期の二・三叉工具による押し引き文土器について」(島袋洋)
島袋洋は、奄美系と呼ばれる土器のうち、面縄東洞式は、「先端が二叉や三叉に分岐したヘラ状工具を使用して押し引き文を施」されていると指摘している(「沖縄新石器時代前Ⅳ期の二・三叉工具による押し引き文土器について」(島袋洋「廣友会誌」2016)。...
View Article「南琉球新石器時代の諸問題」(岸本義彦)
岸本義彦は、下田原期について、「有文土土器の見られる遺跡では骨・貝製品がほとんど出土しないのに対し、無文土器主体の遺跡において骨・貝製品が出土する傾向にあり、前者が時期的に古くなる可能性がある」と指摘している(「南琉球新石器時代の諸問題」「史料編集室紀要」2000)。...
View Articleトカゲ・トーテムの色と性
ぼくたちはここでもうひとつ、考えなければならないことに突き当たる。下田原期の石斧が「緑」で土器が「赤」だったとして、それが男性色、女性色に対応していたとすれば、貝トーテムに入る前のトカゲ・トーテムの段階には、性と色は対応していたということになる。...
View Article無土器期の石斧と蟹 2
もう少し無土器期の石斧について、視力を高めたい。 山極海嗣は、「サイズ・平面形・刃部形態のバリエーションで見ると、下田原期-無土器期では明確な変化を読み取ることはできない」(「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明 :...
View Article無土器期石器と蟹トーテム
無土器期の石器のバリエーションは、蟹トーテムの鋏について、開いたときと閉じたときの2タイプがあるとみなせばよいのではないだろうか。(『石垣市史考古ビジュアル版第2巻』(石垣市総務部市史編集課編) ミナミオカガニ 参考:「ミナミオカガニ」 ベニシオマネキ 参考:「餌を食べるベニシオマネキ Uca chlorophthalmus crassipes のオス、アップ@漫湖水鳥・湿地センターの木道」...
View Article北琉球前2~3期の貝製品
北琉球の貝塚時代前2期、前3期のどこで貝製品が出現するかを見てみたい。前2期 十島村大池遺跡A地点:オオツタノハ製貝輪、貝製小玉、ヤコウガイ製貝匙、螺蓋製敲打器 伊礼原遺跡:ツノガイ製玉類、タカラガイ科製品 大堂原貝塚:シレナシジミ製貝輪、ゴホウラ製貝輪前2~3期 沖永良部島神野貝塚:円盤状貝製品、貝製小玉、貝匙、螺蓋製敲打器、貝製刀器...
View Article北琉球トカゲトーテム段階の遊動
前2期、北琉球では石器についてチャートの需要が生まれる。奄美では、大島の南西部、沖縄では本部半島と周辺離島で石材を獲得する必要があった。周辺離島というのは、伊江島、伊是名島、伊平屋島のことだ(大堀晧平「琉球列島の石器・石器石材」『琉球列島先史・原史時代における環境と文化の変遷に関する実証的研究研究論文集 第1集 琉球列島の土器・石器・貝製品・骨製品文化』)。...
View Article北琉球前3期と南琉球の無土器期
前3期、北琉球の沖縄では石器群は消滅する。しかし、土器は作られ続け、胎土は沖縄島北部に求められる(大堀晧平「琉球列島の石器・石器石材」『琉球列島先史・原史時代における環境と文化の変遷に関する実証的研究研究論文集 第1集 琉球列島の土器・石器・貝製品・骨製品文化』)。 この、トカゲから貝へのトーテムの移行の段階は、琉球弧の南北では対照的だ。 北琉球 ・石器:消滅 ・土器:沖縄島北部で獲得 南琉球...
View Article「奄美・沖縄諸島における竪穴住居跡 : 貝塚時代前4期を中心に」(大屋匡史)
「奄美・沖縄諸島における竪穴住居跡 : 貝塚時代前4期を中心に」(大屋匡史「廣友会誌」2015) 大屋匡史は、貝塚時代前4期の竪穴住居について分類して分析を行っている。 Ⅰ類:地面を掘り込むのみ Ⅱ類:地面を掘り込んだうえで、石灰岩礫などで四隅を囲む Ⅱa類:床面の周縁を囲う(伊是名貝塚のみ) Ⅱb類:竪穴の周縁を囲う 大屋は書いている。前5期にいたるまで、柱に規則性はない。...
View Article「神話・伝説・歴史」(コルネリウス・アウエハント)
波照間島の「双葉世(フタバユ)」の意味は分からない。「アバーミとアラマリィヌパ」の神話で、「油の豪雨(アバーミ)」が降るのは、トカゲ・トーテムの終わりを示している。...
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