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Channel: 与論島クオリア
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「奄美群島おもろの世界」(福寛美)

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 奄美の豊かさについて、福寛美は書いている(「奄美群島おもろの世界」『沖縄文化研究33』2007)。

 地方を謡うおもろの中で奄美の神女達の数は群を抜いて多い。このことは、奄美群島が神女祭祀の賑わう地であり、航海守護の神女達の数が際立って多かったことを示す。そのことはまた、奄美群島から出帆する船が多かったこと、そして、航海守護の神事を多くの女性達が彩れるほど奄美群島が豊かだったことを示唆する。

 こう強調するのは、奄美はいつでもその逆の像としてあるからでもある。強調したくなるのはよく分かる。

 『おもろさうし』で、「金の島」は、「はね(金)の島」とも書かれる。「太陽神おもかは」は、「金の島」、首里杜、真玉杜と対になる。ぼくの連想をいえば、「はに」は、「羽衣」にひっつけば神女の衣裳になり、「金」にひっつけば御嶽などの聖域になる。そしてそれはどちらにしても「太陽」との結びつきを強調する。

 「おもろ」で「浮島」と称さるのは、喜界島と那覇のみ。しかし、これは地勢の特徴からくるものだが、それ以上の意味があったと福は指摘している。554で歌われる「おもろ」は、喜界の浮島を出発して那覇の浮島に到達する。これは、琉球王国の支配権を示すとともに、「前代の浮島とおもろの時代の浮島を結ぶ役割を果たす」。

 「ある時代の沖永良部島と与論島に、第二尚応答の始原世界が設定されていた」。「根の島」であれ、「浮島」であれ、生と死の分離以降では、「沖の島」が起点になるのはこの段階の世界模型だと言ってもいい。そういう意味では、与論島の「根の島」も「観想」以上のものではない可能性もあるのかもしれない。

 


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