中本正智は、ミからニへは「音声変化」からも論証できるとしている(「ニライカナイの語源と原義」)。
ミルヤ >ニルヤ.>ニラヤ >ニラヰ >ニライ
と、こういう推移を想定しているわけだが、「ミルヤ >ニルヤ」のところがぼくにはいちばん分からない。この間の経緯はもっと複雑なのではないだろうか。
「濁音の同一と等価」を参照すると、
ミ >ジ >ヂ >ギ >ニ(の濁音)としてミからニに到達することはできる。そうすると、「琉球神道記」の「儀来河内」(ギライカナイ)という表記も、射程に入ってくることになる。ただ、感覚的にはこの経路は難しい。