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Channel: 与論島クオリア
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島尾敏雄の「琉球弧」 2.すぐに続いた「ヤポネシア」

 一九六一年の春、「奄美の妹たち」で「琉球弧」の概念を提示した島尾は、はやくもその年の冬には、日本列島を表現するもうひとつの言葉として「ヤポネシア」(「ヤポネシアの根っこ」)を提唱し、その南の部分として「琉球弧」を位置づけてみせた。ふたつの概念はほぼ同時期に提示されたのだ。...

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島尾敏雄の「琉球弧」 3.奄美への寄与

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島尾敏雄の「琉球弧」 4.挫折の背景

 琉球弧の「総合的な報告」を思い立って以降、島尾はほぼ同じ言い方で繰り返し、「奄美についてなにかを書くと、奄美の実体は私の手を逃がれ遠くの方に去って行き、手のとどかぬところのものになってしまう」(「奄美・沖縄の個性の発掘」)と書いている。...

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島尾敏雄の「琉球弧」 5.逆向きの生

 奄美大島に移住する直前に書いたのが「加計呂麻島」(一九五五年)という文章だった島尾は、符合させるように、奄美大島での最後の文章を「加計呂麻島吞之浦」(一九七五年)と題する。...

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島尾敏雄の「琉球弧」 6.日常の発想さえちがう

 島尾敏雄の琉球弧はどこまでたどり着いていたのか。「総合的な報告」に挫折した島尾に代わって、わたしたちはそれを探ってみよう。...

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島尾敏雄の「琉球弧」 7.サンゴ礁地帯

 日常の発想すら違うという洞察は、「ヤポネシアの視点」からまっすぐにやってきたものだ。 結局のところ、被害、加害の視点でつかまえられることではなく、まず必要なことは琉球弧の本来のすがたを、ヤマトの追いかぶさりの目を排除しつつ明らかに立てることである。もちろん大根のところでは立っているのだけれど、それを表現としてはっきりあらわすとのように思う。(「琉球弧に住んで十六年」)...

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島尾敏雄の「琉球弧」 8.サンゴ礁の子

 奄美大島を離れ、本土の冬の風に堪えた島尾が、「越冬」中の那覇で魅入られたのは、「「女踊り」の身のこなしと、座喜味城址のたたずまい」(「那覇からの便り」)だった。...

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「根の国の話」(柳田國男)

 柳田國男は「根の国」について、こう書いている。 1.南島のニルヤカナヤは、「根の国」と「根本一つの言葉であり信仰である」。 2.「それが海上の故郷であるが故に、単に現世において健闘した人々のために、安らかな休息の地を約束するばかりではなく、なおくさぐさの厚意と声援とを送り届けようとする精霊が止往し往来する拠点でもある。 3.その恩恵の永続を確かめるために、稲の作物の栽培を繰り返した。...

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宮古島針突きの尺骨頭部文様

 市川重治は『南島針突紀行』で、宮古島針突きの尺骨頭部紋様について、片手が高膳の場合は他方にトウヌピサ(鳥の足)かカザマーラ(風車)アオヤッダ(アオヒトデ)の文様がついた。 と書いている。 試みに、『南嶋入墨考』に掲載されている42のデザインについて、尺骨頭部の文様を挙げてみる。...

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通り雨と一緒に歩いた沖縄島

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『自然認識の人類学』(松井健)

 来間島では、サルカケミカンは「サルク」と呼ばれ、ナンテンカズラが「ビキ・サルク(雄のサルク)」と呼ばれる。サルカケミカンはミー・サルク(雌のサルク)だが、「ミー」は省略されることが多い。両者の共通点は、「鋭くて強い棘だけ」。つまり、サルクに関してはふつうは女性植物とみなされている。ススキは「カヤ」、あるいは「ミー・カヤ」で、イトススキが「ビキ・カヤ」。...

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「とらさんながね節」

 宇検が本場だという「とらさんながね節」。 とらさんながねなんて ふつもゆる煙 とくぬまごじょめが はゆる煙草 とくぬ浜で ふつもゆる煙 牛焼きと思えば 塩屋ぬ煙 浜ながし行くば しゅくぬ子ぬ寄より 網叉手や持たぬ 事ど欠きゅる 網寄せて曳くば 又手寄せて曳くば 網やだます 叉手や叉手だます のろやのろだます ぎじやぐじだます たます打ち果てて 主やどまで (小川学夫『奄美の島唄』)...

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宮古島の針突き文様

 市川重治の『南島針突紀行』から、宮古島の針突き文様について、もう少し示唆を受け取りたい。 「・」ウマレバン。小さな点。「富貴の印であり、後生に行けば先祖や神様に見せなければならない文様」。 「×」ガジル。結ぶこと。 「類こ」フツンキヤ。人と人が対しあうこと、口むかうさま。 「四個の点」インヌプサ(犬の足)。宮古上布にある文様。 「=」オミス。箸。 「五つの点」。イズクモズ。...

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ミルヤからニルヤへ

 中本正智は、ミからニへは「音声変化」からも論証できるとしている(「ニライカナイの語源と原義」)。 ミルヤ >ニルヤ.>ニラヤ >ニラヰ >ニライ と、こういう推移を想定しているわけだが、「ミルヤ >ニルヤ」のところがぼくにはいちばん分からない。この間の経緯はもっと複雑なのではないだろうか。 「濁音の同一と等価」を参照すると、 ミ >ジ >ヂ >ギ...

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『吉本隆明 『言語にとって美とはなにか』の読み方』(宇田亮一)

 この本を読んで、『言語にとって美とはなにか』とぼくたちの問題意識の接点は何かを考えることになる。「文字」以降の表現を主に扱っているこの本に対して、ぼくたちは文字以前の思考を対象にしているのだから、接点を見つけること自体がテーマになる。...

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うるゆー(サンゴ世)

大波の去った夜、イノーに月が映えて、干瀬があやしく輝いた。月が姿を消すと、イノーからティダが生まれる。浜辺のユウナは風浴びて、黄色の花びらをゆらめかす。木陰で舌出す大トカゲ、ユナの渚を睨んでる。おもむろに這い出すと、蟹は慌てて岩になる。そ知らぬふりのトカゲは、カタカスになって泳ぐよ。ウルユー。渚に生まれ、渚にかえる。イラブチャーがつつく。まばゆいスクの群れ、向こうでボラが空へはねる。グーが背中を叩く...

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月は夜の太陽

 吉成直樹は、「おもろさうし」を引いて、月についてこう書いている。一 阿嘉のお祝付きや  饒波のお祝付きや  月てだの様に  照ゞ 輝ちよわれ又 夜は 月 照る  昼は てだ 照る  月の様に又 月や 隠し人  てだは 世の主  月てだ様に一 あかのおゑつきや  ねはのおゑつきや  つきてたのやに  てゝ かゝちよわれ又 よるは つき てる  ひるは てた てる  つきのやに又 つきや おさしきよ...

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月と太陽

 ニコライ・ネフスキーは書いている。 宮古群島では、太陽と月は夫婦になっている。夫が片足を妻に投げたとき月食が起こり、妻が夫に媚びたときに日食が現われる。 この説話では、すでに太陽は男になり、しかもふたりは夫婦になっている。これは男性が太陽化したことで、女性が月化したものだ。あるいは、月はその前から女性で、そのまま女性にとどまったのかもしれない。...

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不死-蛇と再生-貝

 サンゴ礁期に入って、島人は貝-太陽-女性という同一視のトライアングルを見い出す。そして生と死は、不死から再生の段階に入る。 不死-蛇 再生-貝-太陽-女性 と、ここまではいいはずだ。...

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『神と自然の景観論』(野本寛一)

 野本寛一は、緒言で「聖なる一本の樹木の場合、依り代なのか神体なのか不明確なことが多い」と書いている。ここに二重性が認められる場合は、「神体」→「依り代」への転換を想定していいのだと思う。...

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