盛本勲は、先史時代の南北琉球に共通あるいは類似する文物について書いている(「考古学ジャーナル352」1992)。
1.スイジガイ製利器
環太平洋諸島では、南北琉球圏にのみ限定されるようである。両者において突起の箇所がほぼ決まっている。その先端を砥磨(しま?)し刃先を作り出している。「漁具的機能が考えられる」。前4期、南北に共通するのは前5期。
2.二枚貝製漁網錘
殻頂部やその周辺に孔を穿ち、漁網錘として使用。前2期、前4期に増加。南では新石器時時代前期に登場。
3.螺蓋(らがい)製敲打器(こうだき)
ヤコウガイの蓋の薄い縁辺部に剥離痕。付刀という説と叩いた結果という説。盛本は敲打器と理解。北では前期、南では新石器時代前期。
4.貝製玉類
イモガイやマガキガイの螺頭部を利用。
5.開元通貨
7世紀のもの。両者で出土。
この他にも、ジュゴン骨やサメ歯を利用した製品もある。盛本は特にスイジガイ製利器を強調している。
「スイジガイ製利器は素材となっている貝そのもの天然分布は奄美以南の亜熱帯~熱帯の海域に棲息しているものの、環太平洋諸島では両圏のみに限定されるようである」。「当該製品のみは異なる文化的系譜をもつ両圏における初の共通の文物といえるとともに、同一突起における加工の類似性という点は、単なる類似性以外の社会的背景があったものと推する」。
細かくみれば、いろいろあるわけだ。