貝塚時代後期の貝類から、トーテムを判断する目安を立ててみる。まだ大雑把なものだと思う。
仲原式土器のオカガニ段階では、陸の蓋のある貝が選ばれる。オキナワヤマタニシが典型的だ。オキナワヤマタニシは、ヘビ段階と苧麻段階で、ヘビ貝と苧麻貝になった層を持つ貝だ。オカガニの鋏貝は、コゲニナが典型例になる。
スナガニ段階では、外洋-サンゴ礁から内湾-転石の貝に重心が移る。スナガニの生息域だ。タママキガイやイソハマグリが典型的。鋏貝はイボウミニナが典型的。
浜屋原式のシオマネキ段階では、干潟に関心が向く。シオマネキ貝はアラスジケマン。アラスジケマンはトカゲ貝でもあれば、シラナミ貝でもあるから、これも層を持つ貝だ。シオマネキだから、鋏貝はさぞ、マガキガイやイモガイ系以外、そう目立たないのは、鋏にしてもメスに目が向けられているからだと思える。
大当原式のオウギガニ段階では、干瀬にやや軸がある。オウギガニの生息域は多様だからだ。サンゴ礁=胞衣の思考も隆盛するので、イノーの表現も高まる。マガキガイ系やシャコガイ系の大型の貝類が目立ってくる。シャコガイのなかでいえば、サンゴ岩に収まるヒメジャコは、最たるオウギガニ貝だろう。
また、大きな比重にはならないが、クロチョウガイなどの扇形をした貝が採られるのも特徴になる。ヤドカリ・トーテムになると、浜辺と干瀬は注目され、イノーの表現も高い。ヤドカリの棲息域への関心に、サンゴ礁=胞衣の思考が重なる形だと思える。
すべすべの腹部との類似からイソハマグリが典型的な貝になる他、イシダタミアマオブネなど宿貝も重視される。