第二章、「幼児葬と長寿葬」。「はじめに」と「幼児葬」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。
幼児葬と長寿葬。対照的な死だが、どこかで結びあっているのではないか。
死産児の呼称(ミジグヮ-奄美に多い。チィムラシ(血塊)-沖縄)。
屋外
・与論島では生後七日以内の名づけのすまない子は墓地の隅に埋めるが、昔はワラビガシャ(童を葬る崖)があって、そこにおいたまま、葬式はもちろん、年忌その他いっさい行わない(山田実)
・死産児(アクマ)や異常死者は、アヲグムイという海辺の奥に葬った。死産児の場合は刃物で切ってすてた(池間島)。
屋内
・竈を中心としたところ、もしくは雨だれが多い。
「位牌祭祀以前の家の守護神は火の神であったろう(後略)。死産児は火の神の保護のもとにおこうとしたことも考えられる。なぜなら火の神の祭祀は主婦の役目であり、いいかえれば火の神は女の神である」(p.383)。
死産児の扱いには、死霊の抑圧、あるいは守護神化という対極がみられる。