41.「死者をおく島」
「死者をおく島」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 例として挙げられているのは、大島南西部、焼内湾の枝手久島(イザトバナレ)。大島北端のニャデ。今帰仁湧川のヤガンナ島。勝連浜比嘉のクバ島。 「後生とは仏教用語を借りたもの」(p.308)。...
View Article42.「死と霊境」
「死と霊境」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 ここは要点のみを押えておく。 死者と生者との境は、村と村の境はもちろん、川や部落内の岐れ路、極端には雨だれの内と外(「後生は雨だれの外」という諺(知念)-引用者注)にさえも現世と他界の境を意識していた。たかが地先の島だとはいえ、アオの島は越えがたい遠さにある(p.315)。...
View Article43.「柴折りと死の伝承」
「柴折りと死の伝承」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 「墓制が確立する以前」の埋葬方法は何だったのかという問題意識。そこで、「石積み、もしくは柴おきの習俗」への着目。 「柴をおく場所が山奥や峠であること。そこには行路死をはじめとして、少なくとも異常な死方をした者の伝説がつきまとっていること」。...
View Article44.「葬地と逆さ竹」
「葬地と逆さ竹」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 墓所に設けられる標識。「梢付塔婆(うれつきとうば)」。柳田國男は、「古来の神を祀る為にもっとも必要であった祭の木が、名を変へ形をやゝ改めつつ」変化したものであることを示唆した。 琉球列島も内地と大きな違いはない。...
View Article45.「葬地への畏怖」
「葬地への畏怖」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 葬地への強い禁忌感。たとえば、指差しの禁忌。「墓かてぃ指ねぇゆるむやあらんぬ」。もし指したら、クッティクッティクッティと言いながら指に唾を吐きかける(野口才蔵)。この呪言は知らなかった。...
View Article46.「他界観念についてのまとめ」
「他界観念についてのまとめ」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 琉球列島ではとくに、死者の魂の赴く他界というのは、存在しなかったろうというのが、現在の私の考えである(p.339)。...
View Article47.「枕飯の共食」
第四部、「再生信仰の諸現象」。第一章、「骨噛みにみる共食と再生」。第一、二節、「はじめに」、「枕飯の共食」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 「枕飯は死者のための忌の召しであり、四十九日の餅は忌明けの食い別れの餅」(p.353)。...
View Article48.「血食の倫理」
「血食の倫理」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 小野重朗。沖縄を豚の文化地帯、本土を餅文化地帯の二つに分ける考え方を退けて、獣肉を重視する古い食生活の姿を想定。かつ、獣肉は神への供犠というのではなく、供物にして共食する。(p.359)。...
View Article「吉本隆明のDNAをどう受け継ぐか」
シンポジウム、「吉本隆明のDNAをどう受け継ぐか」を聞きに、新宿、紀伊国屋ホールへ足を運んだ。濃密な、あっという間の二時間で、それぞれの話題について、もっと話を聞きたかった。顔ぶれがそろうと語りの幅と深さがぐっと拡張される。出演:中沢新一×内田樹×茂木健一郎×宇野常寛 スペシャルゲスト:よしもとばなな 中沢新一(なかざわ・しんいち)...
View Article49.「骨正月」
「骨正月」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。1.四十九日の忌明けには死者になぞらえた餅を食う。 2.その餅も元をたどって行くと獣肉との結びつきが感じられる。 3.九州および琉球列島ではとくに死者の骨噛みの伝承が濃厚で、葬式に行くことを骨噛みに行くという話が多い。...
View Article50.「骨噛みと再生」
「骨噛みと再生」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 骨噛みの意図。ムン(悪霊)の呪詛か、マブイ(守護霊)の継承か。 琉球列島の具体的な伝承のなかからは呪詛としての要素は見出せず、セジづけ、良き死者に対する積極的な礼拝、もしくは合体を意味していたのではないか(p.374)。...
View Article51.「幼児葬」
第二章、「幼児葬と長寿葬」。「はじめに」と「幼児葬」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 幼児葬と長寿葬。対照的な死だが、どこかで結びあっているのではないか。...
View Article52.「長寿葬」
「長寿葬」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 長寿者の死は一種の慶事。 カジマヤー、またはト-カチの前夜。 当人が寝込んで枕元に死者の時と同様、枕飯を供える。長男が、「もうあの世に行かれる年頃ですからおひきとりください。そして後生で子孫の繁栄を見守って下さい」と言う。一夜明けると、盛大な祝宴(p.387)。...
View Article53.「生と死の反芻」
「生と死の反芻」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 「十字路のような分岐点は、地理的にはカジマヤーであり、そのカジマヤーは霊境をも意味している」(p.390)。...
View Article54.「産水と死水」
第三章、「死と再生」。第一節、「産水と死水」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 水は、火の神と同様、あるいはそれ以上に、人間のセジ(霊)づけに大きな役割を果たしている(p.395)。 家ごとに所属する井泉(かわ)。婚姻での入家で行われる「水盛り」、親との別れの「水盃」。...
View Article55.「天下る死」
「天下る死」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 月と生き水 月の中に生き水を担いだ天からの使いの女の絵が残っているのは、生き水を神様からもらってくる途中、人間は桑の実をとって食べているうちに遅くなった。そうすると蛇などが先に浴び、人間は生き水を浴びることができなかった。そのために蛇は脱皮し、人間は脱皮できなくなってしまった(p.409)。...
View Article57.「滴血確骨と生の充足」
「滴血確骨と生の充足」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 滴血確骨(てきけつかっこつ?)・死者の骨に血を塗る風習。多くの枯骨の中から血縁の骨を選別する方法として、親族であった骨にはこれが吸着し、他人の骨と判別できるという考え(p.418)。...
View Article58.「洗骨と再生」
「洗骨と再生」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 洗骨・波照間島、タンカーヨイ(誕生祝い)。洗骨は死者の魂の新たなる誕生。・与論島。「骨を新しくする」。波照間島と同じ意味。...
View Article59.「再生信仰の諸現象、まとめ」
「まとめ」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。 豊饒をもたらす原郷とみられる聖地と、死者の延長上にある他界と再生信仰は区別して考える。 霊魂はマブイ(守護霊)とムン(悪霊)。マブイは別名セジ(霊・筋)(p.431)。...
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