霊力思考のもとでは、カミは人に変態するし、人もカミに変態することも、動物、植物に変態することも可能だった。蛇婿譚やエイ女房譚、化け猫等は、その思考の痕跡を示す民潭。物言う動物の系列も。
霊魂思考の強まりとともに、そこに変化が生じてくる。
1.トーテム
人は、動物や植物、自然物の化身である。
2.化生
植物から人が生まれる。排泄物が宝物になる。人の死体から植物が生まれる(ハイヌウェレ神話)。
3.転生
人が死後、動物や植物に生まれ変わる。
4.憑依
人に動物が乗り移る(狐憑き)。人が人に乗り移る(六条御息所)。
5.鎮魂
人がカミ(神)になる(生き神、来訪神、祝女)
6.感精
カミが人(女性)に精を吹き入れる
ラフだけれど、1~5とともに、霊魂思考の強度が高まると考えられる。この推移には、カミとしての動物や植物、自然物が、零落していく過程が対応する。言い換えれば、人間が自然から自身を区別し、神を至上のものとする一方で、自身を神として位置づける過程だ。
6だけは別系列で、性認識を得た後に生まれたものとみなした。