国会図書館に無いので、近場というわけでもないが、高津図書館まで足を運んで『奄美の針突』を読んだ。
山下文武は、奄美博物館に在籍した1948年から1953年の間に、針突の文様を蒐集しているが、一覧を見た印象は、基本となる図形に不変性は感じられるものの、場所やデザインが信仰を離れた自由度を持っていることだ。それに合わせて、入墨の動機も信仰から離れている。なかには、サザエにみえる貝そのものを描いたものもあり、のけぞった。
隼人の残した楯との類似の指摘は関心をそそられる。渦巻と歯鋸が両者に共通しているのだ。
濃く太い奄美大島や徳之島、繊細になる沖永良部島と与論島と文様のデザインを見ていると、島の性格とつながっている気がしてくる。いつか機会があれば、そういう視点で文様を眺めてみたい。