レポート(「アメリカ流非対称戦争」)によれば、「台湾海峡紛争」に対するために以下の3点が必要である。
1 適切な規模の米軍及び連合軍は、海空軍戦力により孤立させ、確保できる周辺地域において、中国の重要作戦目標に脅威を与えられなければならない。
2 この新たな戦線の展開により、中国政府に対し、政治目的達成のため人民解放軍により高いコストが必要となること、米連合軍が甚大な損害を与えうる位置に存在すること、の両者を知らしめられること。
3 作戦目標としては重要であっても、米連合軍の占める場所は、中国にとって戦略的には第二義的な所であること。
この基準を満たせば、「中国政府は選択の余地を失う」。あるいは、「中国にとっては本質的に重要でない土地を巡っての、高リスク、高コストの事態に突入する」ことになる。
ここで多数のシナリオのひとつとして挙げられているのが、「琉球諸島」だ。
この列島は、黄海、東シナ海から太平洋の外洋に出るためのシーレーンを扼するように立ちはだかっている。中国海軍は、台湾の脆弱な東海岸に脅威を与え、かつ戦域に集中しようとする米軍に対処するためには、琉球諸島間の狭隘な海峡を通り抜けざるを得ない。中国の指導部は、さらに台湾に対する強制作戦に先立ち、支援作戦として諸島の最も西寄りの部分(訳注:先島諸島と考えられる)を先制的に確保したいとの誘惑に駆られるかもしれない。
このように、狭小な、外見は些細な日本固有の島嶼を巡る争いは、通峡/通峡阻止を巡る戦いでは、紛争の前哨戦として一気に重要になるのである。反対に、列島の戦略的な位置は、日米にとり、形勢を中国の不利に一変させる機会を与える。
米国及び日本にとって、この列島の戦略的位置が中国政府との関係をひっくり返すチャンスとなるのである。島嶼に固有のアクセス阻止(anti-access)エリア拒否(area-denial)部隊を展開することにより、日米の防衛部隊は、中国の水上艦艇、潜水艦部隊及び航空部隊の太平洋公海への重要な出口を閉鎖できるのである。
琉球列島は、中国に対する台湾防衛、あるいは中国の太平洋進出の防波堤として位置づけられている。ぼくたちは、ここで「南西諸島」に対する自衛隊配備計画の意味を知ることになる。(「南西諸島に自衛隊配備へ【対中国】」)。
レポートは、これによって「海上の万里の長城建設以上のことが可能である」としていて、ぞっとさせる。しかし、レポートは、アメリカの作戦としているが、実際に配備が計画されているのは、自衛隊だ。
伊波洋一は、これは、自衛隊と中国が戦争するためのものだと説明している。