自己表出の展開(青木正次)
青木正次の自己表出の展開図から、文字以前の琉球弧の精神史に関わる箇所をメモしておく。 1.物理的融合(電子・原子)レベル 2.化学的合成(分子)レベル 3.植物的呼吸生・排気レベル 4.動物的食生・声レベル 5.母子的性生・うたレベル 6.王的権力生・ものがたりレベル (「生命の自己表出史 1 原論」) 2.〔分子化合〕レベル ・すべてが「生きもの」として感じられるようになった世界相の感じ方。...
View Articleユタの三冊
ユタに対する関心が高まっているらしい。ここ十年内のことじゃないだろうか。 琉球新報社の調査では、ユタに悩み事を相談すると答えた人は、2001年で19.4%、2006年には17.1%と減少している。...
View Article蟹行事考
沖縄島南風原の大城和喜による「命名見聞」では、命名儀礼のなかに、バッタと蟹が出てくる。 父親が、赤ちゃんの額からバッタを勢いよく飛ばす(海辺に近いところでは、お年寄りが、子蟹をもったまま、赤ちゃんの額の上を這わせる)。バッタや蟹の生命力にあやかろうというもの。(宮城喜久蔵『魂込め(マブイグミ)と魂呼ばひ―「ヤマト・琉球」比較文化論』)...
View Article霊魂の成立の背景
縄文時代の中期以降に、土偶は立体的になる。これは、対象化された身体像が獲得されていることを意味している。そして縄文後期になると、土偶仮面が登場する。これは、霊魂の成立を意味している。 また、縄文後期になると環状集落が廃れて人々は分散していく。この背景には地球の寒冷化が再び始まったことによる。...
View Article「敬箋」と「焚字炉」
沖縄における道教の影響について、真境名安興は書いている。 その外、敬箋のこと即ち文字を大切にすることも亦道教の教義である、置県前の沖縄では文字の書かれた紙片はこれを踏みつけたりすることは絶対になく道路に墜ちたものは悉くこれを拾いあつめて焚字爐に投じたもので、これで善根を養ふ一つの方便としたもので、借字便覧などといふ本が広く読まれたのである。(『沖縄教育史要 (1965年)』)...
View Article『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』
エマニュエル・トッドの『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』。どうしてこんな過激なタイトルになるかといえば、アメリカとドイツは同じ諸価値を共有していない。大不況の経済的ストレスに直面したとき、リベラルな民主主義の国であるアメリカはルーズベルトを登場させた。ところが、権威主義的で不平等な文化の国であるドイツはヒトラーを生み出したのだ。 こういう懸念をトッドが持つからだ。...
View Article「沖縄の穀物起源説話」(馬淵東一)
馬淵東一は、「沖縄の穀物起源説話」について類型化を試みている。 Ⅰ.天界または海の彼方の国から(a.授受 b.無作為取得 c.盗) Ⅱ.地下界から Ⅲ.通例では女神または女子の屍体から...
View Article「死人を大に忌み、死すれば家をすつ」
見当たらないと思っていた記述をやっと発見。死人を大に忌み、死すれば家をすつ。埋葬なし。棺を外におき、親族知己集飲す。(p.157、柳田國男『南島旅行見聞記』) 1921(大正10)年に、柳田が沖縄島を訪れたときにノートしたものだ。知念村の項で、久高島に「位牌なし」と書いた次に出てくるので、「家をすつ」は久高島のことを指すと思われる。...
View Article「帯状集落」(伊藤慎二)
文字以前の琉球弧の精神史を探究する者にとって、伊藤慎二の琉球縄文の考察は刺激的だ。 伊藤によれば、定着期(貝塚前3~5期、4500年前~2500年前)の後半に「帯状集落」ができる。「帯状集落」とは、「地形に沿って帯状に群集した多数の住居址を伴う拠点的な集落」のことだ。墓域(集団埋葬)、食物貯蔵域、廃棄域(貝塚)などの土地利用の区別もしだいに明確化される。安定した居住活動が確立されている。...
View Article『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』
しきりに鳥のさえずる大きな椋の木の下で、『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』を読んでたら、鳥のさえずりが議論に聞こえてきた。ぼくがもっとも共感したのは、次の発言。牛田...
View Article「先史琉球社会の段階的展開とその要因」(伊藤慎二)
伊藤慎二は、北琉球の貝塚時代人について、狩猟採集民と規定するには食糧獲得に伴う計画的で集約的な自然改変度合いが大きく、農耕民と規定するにはあまりにも主作物が不明確で食料資源利用が過度に多角的である。(『先史・原史時代の琉球列島―ヒトと景観』) と指摘している。...
View Article「アメリカ流非対称戦争」
レポート(「アメリカ流非対称戦争」)によれば、「台湾海峡紛争」に対するために以下の3点が必要である。1 適切な規模の米軍及び連合軍は、海空軍戦力により孤立させ、確保できる周辺地域において、中国の重要作戦目標に脅威を与えられなければならない。2...
View Article『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』
アメリカ海軍大学が2014年に出したレポートによると、人民解放軍の近代化は、「台湾有事」に備えるもの。台湾が何らかの形で独立を宣言した場合、武力による威圧や武力行使によって台湾を屈服、ないしは併合することが想定されている。...
View Article『DNAで語る 日本人起源論』(篠田謙一)
篠田謙一によれば、N9bとM7aは、縄文人を代表するハブログループと見なせる。形態学的には、早期前期は全体的に華奢で、中後晩期と差が見られ、また貝塚出土の人骨は洞窟遺骨の人骨ほど華奢ではないことが知られているが、ハブログループに断絶は見られないことから、これは環境の違いを反映したものと考えられる。「M7aに関しては南方からの進入が、N9bに関しては沿海州などの北方からの流入が想定され」る。...
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