仲松弥秀は、「グスクと城」のなかで、屋我地島の古老から「ウガン(御嶽)はグシクとも言われている」と教わったことから、グスクという名称を持たないのにもかかわらず、御嶽の頂上部に「グスクの頂(ちぢ)」という名称があることを指摘している。
いくつか例を挙げたうえで、
このように、御嶽と呼称されるところでありながら、その頂上部に「グスクの頂」という名称がつけられていること、またグスクと言われているところのほとんどが御嶽になっていることなどからみた場合、かの屋我地島の我部の神女媼が言われているとおり、神の居所である御嶽一般が「磯城(しき)」、いわばグスクと言われていたとしても、別に不思議はないはずである。
としている。これは、「スク」が境界域の性格を帯びることを示している。
スクとは、境界部であり裂開部である。そこは、世の霊力が現われ出るところだ。地下のスクは、ニーラスクであり、地上のスクは、グスクとよばれたことになる。