スク・シヌグ・ウンジャミ
高阪薫は、谷川健一が安田のシヌグで、植物に身をまとった男たちが「スクナレースクスク」と唱和するのを、「スク直れ」、「スク魚寄れ」とみなし、「スクがたくさん寄ってきてほしい」という意味に解したのに疑問を投げかけている(「「海神祭の由来」への一疑問--安田のスクは魚かどうか」1992、「甲南大学紀要. 文学編」)。...
View Article奥武島ブルー 2
「「イノー」の民俗」(<特集>イノーの民俗「民俗文化」1990)で、仲松弥秀が、「青」の島の再論しているので、彼が七つと挙げていた島の見当がついた。 「「イノー」の民俗」で付け加えているものを足して表を更新しておく。(cf「奥武島ブルー」) 表の内容は、資料から判断できることを書いているので、現地の人からはもっと得られる情報があると思う。それを知りたく思う。
View Article京・立神・トングヮ・地先の島
「「イノー」の民俗」(<特集>イノーの民俗「民俗文化」1990)のなかで、仲松弥秀は、奥武島以外の聖地として、京、立神、トングヮ、その他の地先の島をあげている。これを地図化してみた。 場所が不確定のものはその旨、注記している。地元の人には自明だろうが、ぼくの視野が届かない。...
View Article「子は「ニライ・カナイ」からの授かり」(仲松弥秀)
仲松弥秀は、「「イノー」の民俗」の「子は「ニライ・カナイ」からの授かり」の項で、「子授かり」の祈願をした場所を挙げている。...
View Article『精霊の王』から琉球弧へ
サソコのミシャグチ神。 壺の中に閉じ籠もったまま川上から流れ着いた異常児が流れ着いたのが坂越(サコシ)。異常児の零体は、「胞衣荒神」となって猛威を振るう。宿神、荒神、胞衣。 坂越(サコシ)の当地音は、シャクシ。シャクシ=シャクジ←ミシャグチ。サ行音+カ行音。 ミシャグチ神は、石棒、石皿、自然石の丸石で表現される。ミシャグチのそばに胞衣。...
View Articleスクの語源
宮城幸吉は、スクの語源について書いている(「スクおよびスクガラスについて(<特集>イノーの民俗)」「民俗文化」1990)。 スクは日を決めて、早朝の満ち潮に乗ってくるので、「潮の子(スーヌクワ)」という意味で、それがスークまたはスクと変化したのではないか。久米島ではヒシクというのは、「干瀬の子(ヒシヌクワ)」がつまってヒシクとなったのではなないかと想像する。...
View Article「よなたま」とスク
「よなまた」とスクの位相は似ている。 「よなたま」。砂州の霊力。珊瑚礁の海の霊力。海神の子(母と子)。 スクは、潮(干瀬)の子。珊瑚礁の海の霊力であるとともに、その子。 それが荒神としてもたらすのは、スクは時化、よなたまは津波。
View Articleスクの来游する場所
『サンゴ礁域の増養殖』から、スクの来游する場所をマッピングしてみる。 直線でしか現わせないのと、奄美の情報が淡白なのが気になるが、おおよその海域が掴める。 拡大地図でみないと詳細は分からないけれど。海の幸の福音ライン。
View Articleアマンの神話公式
レヴィ=ストロースの神話公式の練習に、アマンが身をやつす過程を描いてみる。テキスト文字だけでは、表記に不備が出るのは仕方ないとして。 Fx(a):Fy(b)=Fx(b):Fa-1(y) F トーテム(アマン):F カミ(死者)=F 神(死者):F アマン-1(神の使い)...
View Article2/14開催。『珊瑚礁の思考』刊行記念トークセッション
2月14日、那覇ジュンク堂で、『珊瑚礁の思考』の刊行記念トークセッションを行ないjます。 トークセッションでは、ボーダーインクの新城和博さんにお相手を勤めていただきます。ぼくは、1989年の『おきなわキーワードコラムブック』以来、城さんの読者なので、そのような方の胸を借りられること、とても光栄です。...
View Article書評『珊瑚礁の思考』(「南海日日新聞」)
1月30j日の「南海日日新聞」に『珊瑚礁の思考』の書評が掲載された。奄美の地方紙だし、目に触れることのない人も多いので、ここに引用して、ぼくのコメントを付けておきたい。 「斬新、ナイーブな南島論(須山聡)」...
View Articleオボツと奥武
崎山理は、「青」の語源は、「中空」を意味する *awang 、「アワ」であると指摘していた(「日本語の混合的特徴:オーストロネシア祖語から古代日本語へ音法則と意味変化」2012)。「アワ(淡)」から「アヲ(青)」だ。...
View Articleオー(オボツ)地名・葬地・あの世
「オー(オボツ)地名」と「葬地」、「あの世」の関係を集合で表してみる。「あの世」とは、「移行」の段階の、近くの「あの世」を指す。 a:「オー(オボツ)地名」で、「葬地」でも「あの世」でもない。 ありうる。ex.玉城沖の奥武島。b:「葬地」だが、「オー(オボツ)地名」でも、「あの世」でもない。 ありうる。風葬場。c:「あの世」だが、「オー(オボツ)地名」でも、「葬地」でもない。...
View Article「沖の島」の系譜
地名における「沖の島」の系譜は、七島(cf.「沖の島」七つ)に加えて、池間島も挙げることができる。 この八を、地名としての「沖の島」として、音韻の変化を捉えてみたい。崎山理によれば、オーストロネシア語の祖語系(PAN)の母音は、a,i,u,ə とされているので、琉球語の三母音発音でアプローチする。起点に置くのは、波照間島(パティルマ)。1.加計呂麻島(カキルマ) patiruma →...
View Article『酒とシャーマン』(吉成直樹) 2
吉成直樹の「しけ」に対する考察が、面白い。15-1069(18)きみがなしが節一 伊祖の戦思い 月の数 遊び立ち 十百度 若てだ 栄せ又 意地気戦思い又 夏は しけち 盛る又 冬は 御酒 盛る一ゑそのいくさもい 月のかす あすひたち ともゝと わかてた はやせ又 いちへきいくさもい又 なつは しけち もる又 ふよは 御さけ...
View Article奥武島ブルー 3
久米島沖の奥武について書かれたおもろ。でわんおぎもしなわが節 11-608(53)一 かさす若てだに 御み神酒 ぬき上げ又 真物若てだに又 奥武の浜崎に又 奥武のいふ崎に又 弟松鳴響たる又 兄のおや思い(→1426)一 かさすわかてたに 御みしやく ぬきあけ又 まもんわかてたに又 あふのはまさきに又 あふのいふさきに又 おとゝまちとよたる又 せざのおやおもい...
View Article「グスクの頂(ちぢ)」(仲松弥秀)
仲松弥秀は、「グスクと城」のなかで、屋我地島の古老から「ウガン(御嶽)はグシクとも言われている」と教わったことから、グスクという名称を持たないのにもかかわらず、御嶽の頂上部に「グスクの頂(ちぢ)」という名称があることを指摘している。 いくつか例を挙げたうえで、...
View Article謎かけと胞衣笑い
中沢新一は、「笑い」について、こんなことを書いている。 不思議なことに、人類の社会では大昔から、笑いの芸能というものは、生と死が混在する機会や場所を選んで演じられるもの、という暗黙の決まりがあった。笑いを誘う人類最古の芸能と言えば、「謎なぞ」のかけあいにつきるが、これなどは生者と死者が同じ場所に集まる、お通夜の席でなければ、やってはいけないことになっていた。...
View Article