ウフタⅢ遺跡のベニワモンヤドカリ 2
ベニワモンヤドカリ段階にあるウフタⅢ遺跡の貝を見てみる。「破片」はカウントされていないので、人数推定はあきらめて、貝のベニワモンヤドカリらしさを確かめる。 宿貝は、シラナミ。ヤドカリ腹部では、チョウエンサザエ(2197)を除くと、イシダタミが多い(333)。イシダタミは層の膨らみが厚く、巻きがはっきりしている。赤や黄も混じる。それが、ベニワモンの黄と赤のストライプと似ているところだ。...
View Articleミナミオカガニ段階の奄美大島住用・サモト遺跡
住用のサモト遺跡の遺構は、オカガニ段階に見える。出土している土器が、サンゴ礁トーテム土器(カヤウチバンタ式、宇宿上層式、面縄西洞式)であることも、このことに矛盾しない。土器は前段階であることは多々ある。 遺構のデータは詳細が不足しているので、北側にある「6号遺構」に注目してみる。...
View Article「貝塚後期文化の貝交易(藤尾慎一郎)」『ここが変わる! 日本の考古学: 先史・古代史研究の最前線』
琉球弧の精神史の探究は、思いがけず考古学に踏み入ることになったので、学ぶことが多いのだが、ここは琉球弧についての言及にのみ触れることにする。「貝塚後期文化の貝交易」というコラムだ。 藤尾は、九州の土器文化の影響は見られるが、としたうえで次のように書いている。...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第1回:その全体観とシャコガイから出現する貝人
これから「トーテムとメタモルフォーゼ」の話をしていこうと思う。トーテムは、祖先である動植物や自然物のこと。琉球語では「大主(ウフスー、ウフシュ、ウパルズ)」という言葉の語感にその面影が残っている。メタモルフォーゼは変態、変容だが、ここでは脱皮の意味も含ませる。これは、「若返る」という意味のスデル、シヂュンという言葉として残ってきた。...
View Article糸芭蕉祖先の嘉徳遺跡 - 嘉徳海岸護岸工事計画に端を発して考えること
お馴染みのと言っていいくらいの護岸工事計画だが、これは「砂」の問題と言い換えることもできる。砂浜の砂が削り取られて海岸浸食が起き、生活圏へ影響が生じる。嘉徳の場合、海岸近くに墓地があるのが切実さを増している。...
View Article「トーテム-メタモルフォーゼ仮説の全体観とシャコガイからの出現」を終えて
少し過ぎてしまったが、「トーテムとメタモルフォーゼ」の第一回を終えた(5/25)。 当日は、トーテムとメタモルフォーゼ仮説の全体観、その法則性のようなものを話してから、シャコガイ段階に入った。宝島大池遺跡の遺構にはシャコガイが記されているので、その観方が入り口になる。...
View Article『子どもではなく類縁関係をつくろう』(ダナ・ハラウェイ)の装丁図
この本("Staying with the trouble")の装丁に目が行く。手と骨盤と背骨と思しき人骨が組み合されていて、糸巻きのぐるぐるで節がつくられている。そして上に乗せられているのは「蝶」だ。 Staying With the Trouble: Making Kin in the Chthulucene (Experimental Futures: Technologocal...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第2回:蝶になる時とイザイホーの原像
「トーテムとメタモルフォーゼ」(「野生会議99」つながるゼミナール)の第二回は、植物トーテムを扱う。なかでも、具志川島岩立遺跡西区にフォーカスすることになる。...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第3回:苧麻・琉球芭蕉・アダンからサンゴ礁へ
白熱してしゃべってしまった2回目の振り返りを、「野生会議99」の「あとのまつり」に書いた(「蝶になる時とイザイホーの原像」喜山荘一(第2回『トーテムとメタモルフォーゼ』・野生会議99企画つながるゼミナール④))。 考えることを続けていると、発表の終わった後に気づくこともある。...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第4回:カニの切断と浜降りの発生
「野生会議99」のつながるゼミナール、「トーテムとメタモルフォーゼ」の第4回はカニ・トーテム。 カニ・トーテムは、サンゴ礁トーテムを「母」とし、自らは「子」トーテムに転移する。そこに何があったのか。なぜ、そうしなければならなかったのか。そのこころに迫る。それは、現在まで続く「をなり神信仰」の発端となったものだった。...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第5回:ヤドカリ人の抵抗とアマミキヨの出現
月に一回の告知板みたいになってしまっているが、「トーテムとメタモルフォーゼ」の第5回分も資料が整ってきた。おおかかに何をお話しするか、書いておく。 「野生会議99 つながるゼミナール④ 「トーテムとメタモルフォーゼ(サンゴ礁の夢の時間)」...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第6回:ヘビとトカゲと生の反復
昔は死ななかったという話者に、ニコライ・ネフスキーは「どういう様子で当時若返ったものか」と尋ねる。話者はそれに、「蛇の様に皮を脱いだものだ」(『月と不死』)と答えるのだが、不死は、言う通りヘビ・トーテムの段階にまで遡る。...
View Article「トーテムとメタモルフォーゼ」第7回:ハジチ 霊魂のファッション
「トーテムとメタモルフォーゼ」の第7回、最終回は「ハジチ(Japonesian Ryukyu Tribal Tattoo)」がテーマ(野生会議99「トーテムとメタモルフォーゼ」)。...
View Article年の瀬のリュウキュウウマノスズクサ
渡久地さんに道々を案内していただきながら、リュウキュウウマノスズクサを探す本部道中。運がよければ開花を見られるころと当てにして。 はじめ塩川に寄る。それとおぼしき蔓草があるが、確信が持てない。 川を渡すオオハマボウの立派なこと。 気を取り直して、アドバイスのあった嘉津宇岳へ。 アドバイス通り、登山広場での脇でリュウキュウウマノスズクサが見つかる。ただし、花や蕾は見当たらない。...
View Article蝶の人
風の小学校のいちばん奥の教室で、彼女はみんなが来るのを待っている。理科室だったかな、実験台に座ってね。 お披露目したくてうずうずしているんだ。なにしろ、蝶の人になったのだから。カミになったと言ってもいい。その手は間違いなく、ハジチ(Japonesian Ryukyu tribal tattoo)をしているはずだよ。...
View Article『縄文時代にタトゥーはあったのか』
本書の関心は多岐にわたるので、メンタワイのタトゥーをみれば、インドネシアの自然を覗きたくなり、北海道の「中空土偶」をみれば、縄文後期の北海道のトーテムを調べに潜行したくなったり、セントローレンス島では関節部を魂の場であるという記述にぶつかると、琉球弧のそれとおぼしき痕跡のことに頭が行ったりと、考え込みたくなる誘惑を何度も抑えるのだった。...
View Articleハジチの本が出るにあたって
『珊瑚礁の思考』を構想しているとき、ある伝承や習俗の理解が別の伝承や習俗の理解と脈絡をつけてつながるということが起き始めた。もうひとつ別の理解点が加われば面をなして、理解点が増えると面は次第に大きくなってゆく。もちろん、点の理解に間違いあれば、面は消えて線に戻るが、また次の点ができて新しい理解面も生まれる。こうしたことが次々と起きる感覚があった。それは今も続いているが、そうすると、あることにどのよう...
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