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Channel: 与論島クオリア
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食物連鎖とトーテミズム

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 「食」が人間の表現の主題だった段階では、人間と自然の関係は、「食うー食われる」と表現できる。ふつうには食物連鎖と言われているものだ。

 この「食うー食われる」は、トーテムとも関係している。琉球弧で、「蛇」の次の段階で「トカゲ」がトーテムに選ばれたということには、蛇がトカゲを食べることが重視された。それが理由のすべてではないが、蛇がトカゲを食うことが、トカゲをトーテムとする重要な契機のひとつになっていると考えられる。

 ここで、食物連鎖としてみれば、人間と自然の関係は「食うー食われる」になるけれど、トーテミズムの視点からみれば、「食われる」ということは、そのものに「なる」ことを意味している。実際に捕食はそのように見える。これは逆にいえば、「食う」とはそのものを「取り込む」ということになる。「食われる」ものを「食う」ものの一部にするということだ。

 この連鎖のなかでは、トカゲの「祖先」は蛇になるし、蛇はトカゲを生み出すことができることになる。

 また、トカゲの祖先が蛇だという場合、部分が全体のなかに取り込まれることであり、蛇がトカゲを生み出すとは、全体から部分が生まれると言うこともできる。ここに、部分と全体が一致するという思考を見ることができる。

 一方、「仮面」の装着によってそのものになるという行為もある。この場合、「仮面」という部分を、そのものという全体に一致させている。

 前者は、霊魂発生の前から存在できるのに対して、後者は霊魂の発生を必要としている。こう考えると、部分と全体の一致という思考は、霊魂の発生によって表現方法を増やした、あるいは変えたと見なせる。

 これはボディペイントと刺青の差としても言うことができるのではないだろうか。

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