久高島では、スイジガイとクモガイは、どちらもヤルーと呼ばれる。しかも、雄と雌として区別される。
大きいスイジガイがヤルーの雄であり、小さいクモガイが雌である。(熊倉文子「海を歩く女たち-沖縄県久高島における海浜採集活動」)
もちろんこれは色で区別されたのである。また、男貝のほうが魔除けには積極的に利用されることになったことも分かる。
変わったものでは、フタモチヘビガイがある。
何が変わっているのかといえば、おそらく形状のこと言っているのだと思う。(参照:「フタモチヘビガイ」)
サンゴにほとんど埋もれ、殻口部だけを外に出している。銛やドライバーなどを殻口部の殻とふたの隙間に素早く差し込み、身を取り出す。今でも、イノーを歩いていて空腹を感じたときには、この貝をとり、そのまま生で食べる。甘味があっておいしい。
生物名からは男性貝を思わせるが、方言名ではないのでこれで判断はできない。色合いからしても、女性貝のひとつではないだろうか。これも、女性のメタモルフォースの表現のひとつだったと思う。