ここでは各ブロックの高度を固定して、北東ブロックおよび西ブロックを断層形成以前の標高に戻すことにする。このようにして見積もられた断層による変位は、西北西-東南東断層により北東ブロックが約10m、北北西-南南東断層により西ブロックが北部で約10m、同南部で約50m落ちたことになる。「鹿児島県与論島の第四系サンゴ礁堆積物(琉球層群)」(小田原啓・井龍康文『地質学雑誌』1999年)
この説明はシンプルなのだが、理解するのは難しい。
いままで聞いてきたのは、X-Z軸の「中央断層線」とY軸の「東部断層線」だ。でも確かに、Y軸が島を横断しないのは不自然だから、小田原・井龍が言うように、W-Y軸(西北西-東南東断層)とX-Z軸(北北西-南南東断層)となる方が整合性が取れる。
しかし、小田原・井龍の記述は、結果としての断層なので、推移が分からない。そこでV軸も設けて、断層形成の過程を考えてみたい。
1.V-Y軸の北部が10m下降。
・茶花(-10)、立長(-0)、品覇(-10)、那間(-10)
2.X-Z軸の西部が10m下降
・茶花(-20)、立長(-10)、品覇(-20)、那間(-10)
3.W-Z軸の西部が10m下降
・茶花(-30)、立長(-20)、品覇(-20)、那間(-10)
4.Z軸の西部が30m下降
・茶花(-30)、立長(-50)、品覇(-20)、那間(-10)
これは、小田原・井龍の記述と矛盾がないのか分からないが、仮定として置いてみる。