石垣島名蔵貝塚の貝を見てみる。200以上の多めのものをピックアップした。
(『名蔵貝塚群発掘調査報告書 県道改良工事に伴う緊急発掘調査』「沖縄県文化財調査報告書第64集)
最多はリュウキュウサルボウ。これをはじめ砂底の貝の多さは、砂蟹の段階を強く示唆すると思える。
アラスジケマンガイ、シレナシジミ、キクザル等は、シャコガイの化身態で、ヒメジャコが163体出土しているのに対応している。
気になるのはセンニンガイだ。これはトカゲ貝であるとともに、岸辺貝でもある。しかも、ヤドカリの宿貝でもある。
チョウセンサザエ(9)、サラサバティ(64)も出土している。これらの棲息地は「潮間帯下-サンゴ礁」と記載されている。干瀬のあるサンゴ礁なら、これは干瀬、礁斜面となるはずだ。干瀬はなくても、貝はそれを象徴している。
この名蔵貝塚の貝構成は、蟹トーテムの砂段階を示唆していると思える。ただ、センニンガイのヤドカリ示唆も気になる。