「ナガラ原東貝塚の貝類遺体」(黒住耐二)から、後2期の貝類を集計してみる。
これは後2期の前半だから、後1期の流れも汲んでいると考えられる。
ヤドカリ・トーテムの契機のひとつはゴホウラだったと考えられるから、この段階でサラサバテイラは、ヤドカリ貝と見なされたのではないだろうか。
浜辺でもっともヤドカリ貝らしさを見せたのは、コオニコブシということになる。前に見たように、コオニコブシだけではなく、後2期は、尖った貝殻の貝が目立つ。この尖りは、ヤドカリの脚の棘、あるいは、脚そのものを反映したものだと思える。
また、ヤドカリ貝らしい二枚貝は、イソハマグリだ。なぜ、つるつるのイソハマグリが、ヤドカリ貝なのか。イソハマグリは、粗めの砂地にいる。姿を現すとき、その貝殻には、大きめの砂が付着している。これが尖りのある貝殻と同じ見立てを呼び込むだと思う。
オキナワヤマタニシ、オキナワウスカワマイマイは、後1期に比べ後退している。陸のヤドカリ貝は、ヤドカリ自体が象徴しているのだと思える。あるいは、オカヤドカリが。