沖永良部島揚殿遺跡の貝類は、個体数がカウントされていないので、貝類名称のみを挙げる。
・マガキガイ、レイシガイ類、オニノツノ、コオニコブシ -鋏
・ニシキウズ、サラサバテイラ、チョウセンサザエ、ヤコウガイ -腹部
・チョウセンサザエ、ヤコウガイの蓋 -頭部
・マダライモ -眼
この貝類は、ムラサキオカヤドカリを示している。
遺跡の立地であるが、砂丘地では無く内陸部赤土台地上である。この遺跡立地は、これまでの兼久式土器の遺跡立地(第 31図)と相違する。しかし、前述した通り沖縄諸島の事例とは類似し、川嶺辻遺跡も同様の立地である。(鼎丈太郎「揚殿遺跡出土のくびれ平底土器の位置付け」)
この砂丘から内陸部赤土台地上までの範囲は、ムラサキオカヤドカリの棲息地に対応していると思える。