具志川島遺跡の前3・4期貝類
同一遺跡の貝類の段階を見分けるのは難しい。 まず、陸産の構成比の高さからみれば、6~12地区を前4期と見なしてしまいそうになる。伊是名貝塚だけを見ていればそう判断するしかなかったかもしれない。 6~12地区で、前3期らしいといえば、タテタテヨコヨコ二枚が多いことだ。また、5B層から前4期らしさを抽出すれば、ギザギザ族、オウギ族の多いことが挙げられる。...
View Article伊礼原E遺跡の貝類
黒住耐二は、伊礼原E遺跡の5区について、内湾が多く占め、非食用の小形種が多いことから、「自然貝層」と判断している。また、別のところでは、貝塚時代前2期後葉と位置づけている(『平安山原B・C遺跡』)。 しかし上位の貝を見れば、これは「自然貝層」ではなく、島人の選択が働いている。苧麻トーテム段階の貝たちだ。...
View Article面縄第3貝塚の貝類
シャコガイ・トーテムにぴったり合った貝層(土器でいえば、隆帯文)になかなか出会うことができない。 面縄第3貝塚は、条痕文の土器の他に前3期の室川下層式も出土しているので、その可能性はある。...
View Article具志川島の「あの世」の発生
具志川島岩立西区の最下層は、前2期とされている。 しかし、貝の構成を見る限り、苧麻トーテム(前4期)とみなしてよいと思える。6層から12層は前3期とされているが、これも貝の構成からは、苧麻トーテム(前4期)段階にある。 そこで5A層から24層まで、苧麻トーテム段階の推移と見なしてみる。...
View Article苧麻トーテム段階の貝の諸相
ぼくは、伊是名貝塚、具志川島岩立西区、古我地原貝塚は、どれも苧麻トーテム段階(前4l期相当)と見なしている。しかし、それぞれの貝類は多様だ。 これは、あの世の場所のちがいに帰することができる。伊是名貝塚の場合、あの世は陸上にある。具志川島岩立西区では、陸上にもあるが、それより、岩立遺跡沖の小島が優勢だった。...
View Article大堂原貝塚Ⅷ層の貝類
大堂原貝塚Ⅷ層は、ヘビトーテム段階の貝層だ。これまでのところ、とても分かりやすい化身貝とも言える。 ニシキウズ、サラサバテイラ、ヤコウガイと、巻貝の巻きにとぐろを巻いた蛇が見いだされている。
View Article与那国島トゥグル浜遺跡の貝類
与那国島トゥグル浜遺跡Ⅱa層の貝類。 ヤコウガイの蓋、そしてチョウセンサザエの蓋と続く。波照間の下田原の島人はチョウセンサザエに執心したように、与那国ではヤコウガイに執心している。しかし、こころの位相としては同じ、キシノウエトカゲの化身貝を採ったということだ。 与那国島トゥグル浜遺跡の島人はすでに土器をつくっていない。代わりのように、ヤコウガイの蓋にトーテム表現を求めたことになる。
View Article波照間島大泊浜貝塚の貝 3
改めて、波照間島大泊浜貝塚の貝類の段階を推測してみる。 トカゲの段階から、シレナシジミはずっと尊重されている。これは、トーテムの化身を意味するとともに、西表島とのつながりを示しているのだと思える。...
View Article竹富島カイジ浜貝塚の貝 5
しつこいが竹富島カイジ浜の貝類。 これらは、0~3地区にしても、4~21地区にしても、ムラサキオカヤドカリが優勢になった貝層を示している。 0~3地区のⅣ層では、ケイトウやベニエガイにコモンヤドカリの名残りを見ることができるが、1位はヒメジャコで、ムラサキオカヤドカリのトーテム化を象徴するように思える。Ⅰ層では、マガキガイが男性貝として、チョウセンサザエの蓋が、男性=太陽への変換を見せている。...
View Article石垣島船越貝塚の貝類
石垣島、伊原間のくびれにあるフナクヤー(船越)貝塚の貝類。 シオマネキ段階の貝だけは明瞭な表情を見せてくれる。アラスジケマンだ。 殻に赤みを認められるオオベソマイマイやベニシリダカには、ベニシオマネキ。ヒメジャコにはルリマダラシオマネキを見ることになる。オオベソマイマイの強いタテタテヨコヨコの模様は、シオマネキの腹部との類似が考えられている。(参照:「八重山のカタツムリ」)...
View Article名蔵貝塚の位相 3
名蔵貝塚にしても典型的なシオマネキ段階を示している。 Ⅴ層についていえば、ベニよりもハクセンシオマネキの方を想起させる。はっきりベニを示すのは、サラサバテイラだろうか。 オウギガニが意識され始めているのは、シャコガイ族の構成比が、0.9%から6.7%に増加することに象徴されている。
View Article宮古島長墓遺跡の貝類 1
宮古島長墓遺跡の貝類。トレンチ1の1層を取り上げる。 目を引かれるのは、ヒザラガイだ。1層の貝類は、苧麻トーテムのものだと思えるが、これまで見てきた苧麻トーテム段階の貝と異なるのは、ヒザラガイが上位にあることだ。苧麻の葉の形の類似が捉えられていると考えていい。...
View Article宮古島長墓遺跡の貝類 2
宮古島長墓遺跡のトレンチ1で最下層の7層の貝類を「取り上げる。 これも1層と同じく苧麻トーテムの化身貝たちだと言える。長墓遺跡は、苧麻トーテム貝塚である。 不思議なのは年代で、放射性炭素年代測定では、7層が約4000年前、1層は約2500年前と出ていることだ。7層は、下田原期にあたり、1層は無土器期になる。...
View Articleオオハマボウの圧痕
喜界島南部の先山遺跡から出土した兼久式土器の接地面には、木葉圧痕がある。 この図を見ただけでは分からないが、報告書にはこう記されている。11-17は全て,塞形土器の底部片で, 11, 12, 13, 16の接地面には木葉が圧痕される。使用した木葉は,オオハマボウでこの種の土器に一般的に見られる。また, 14, 15では,その痕跡よりサンゴ状のものを敷いたと思われる。 12,13,...
View Article揚殿遺跡の貝類
沖永良部島揚殿遺跡の貝類は、個体数がカウントされていないので、貝類名称のみを挙げる。 ・マガキガイ、レイシガイ類、オニノツノ、コオニコブシ -鋏 ・ニシキウズ、サラサバテイラ、チョウセンサザエ、ヤコウガイ -腹部 ・チョウセンサザエ、ヤコウガイの蓋 -頭部 ・マダライモ -眼...
View Article蛙から蝶への化身
西表島の「井戸ヌパタヌ子蛙誦言」でいちばんよく分からないのは、蛙が蝶に化身するということだ。 井戸ヌパタヌ アブダーマ パニバムイ トゥブケー バガケラヌ生命(イヌチイ) 島トゥトゥミ アラショウリ しかし、これはどうやら、どちらもシャコガイ・トーテムの化身態ということではないだろうか。...
View Article蛙から蝶への化身 2
「井戸ヌパタヌ子蛙誦言」について、もう少し詰めてみる。 井戸ヌパタヌ アブダーマ パニバムイ トゥブケー バガケラヌ生命(イヌチイ) 島トゥトゥミ アラショウリ 蛙が蝶に化身するとするなら、両者は同じ位相にあると考えられたはずだ。 何が同じなのだろうか。蛙は、井泉(カー)にいるのだから、境界点に位置することになる。生と死の結び目だ。 それなら、蝶も境界点にいることになるはずだ。...
View Article『奄美・沖縄諸島 先史学の最前線』
『奄美・沖縄諸島 先史学の最前線』を興奮しながら一気に読んだ。このところずっと探究していることではあるので、新しく得られたことについて備忘する。 もっとも刺激を受けるのは、ハブログループのM7a1について。M7a1は、縄文相当期にあたる時代から九州から沖縄に広く分布していたが、石垣島の白保竿根田原洞窟遺跡でも、4000年よりも新しい時代のサンプルからM7aが検出されている。...
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