「クバの葉と位牌」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。
大和と琉球が袂を分つ以前は、クバの葉に抱く感情は共通していたであろうこと、クバの葉の信仰を携えて、民族は北上したのではないか、というのが柳田國男の描いた構想(「海南小記」にて)(p.531)。
クバは神が降臨するためという以上に、神の霊代(たましろ)の意味ではないか。位牌棚とは別に、その他の神々とは別に、先祖を祀るしぐさとしてクバの団扇を立てている。(p.532)。
「クバの世」。クバが社会集団の信仰の象徴としてある(p.533)。
クバは単なる団扇じゃないわけだ。それは御願の神木でもあった。大和における巨木に相当するものだ。