第二章、「祖先信仰の成立」。第一、二節、「はじめに」、「聖地巡拝」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。
日本民俗学での使いわけ。
先祖。血縁を辿った古い死者。
祖霊。きわめて抽象的な先祖の霊魂。屋敷神や田の神など。
おそらく、はじめは豊年や健康祈願などのために神々への聖地の群行があった。琉球王の東詣りはその流れを汲むもので、それは東方に対する古い信仰に支えられたものであった。(中略)たぶん王政の爛熟した幕末以前頃から、「世乞い」の意味をこめて霊地の巡拝をはじめたのが今の東詣りや今帰仁詣りであったと思う。(p.580)
与論シニグの神道歩きも、この位相同型だ。