後藤明は、メラネシアの脱皮型の死の起源神話は、近親相姦のタブーに触れている、という。
たとえばソロモン諸島のガダルカナル島の例もそうである。昔、人間と蛇は脱皮することで永遠の若さを保っていた。あるとき、女が子供をお婆さんに預けて仕事に出た。老婆は子供と遊んでいたが、子供が眠ると水浴びに行った。彼女は古い皮を脱ぎ、それを川の岸の木に掛け、若返って家に帰ってきたのだ。子供は彼女を見たとき、お婆さんだと気づかず泣いた。困り果てた老婆は川に戻り、古い皮を身につけた。彼女は孫に行った。「これより先、人間は老いねばならない」と。(『「物言う魚」たち』)
これは、メラネシアでは、親子婚を禁止することが、死の認識をもたらしたと語っているのだと思う。つまり、そこで「世代」の概念を手にしたことが、死の認識につながっている。