新川明の「〈反国家の兇区〉としての沖縄」(1971年)。
だから、少なくとも私が、「反復帰」という時の「復帰」とは、分断されている日本と沖縄が領土的、制度的に再統合するという外的な現象を指しているのではなく、それはいわば、沖縄人がみずからすすんで〈国家〉の方へと身をのめり込ませてゆく、内発的な思想の営為をさす。その意味で「反復帰」とは、すなわち個の位相で〈国家〉への合一化を、あくまで拒否しつづける精神志向と言いかえて差しつかえはない。さらに言葉をかえていえば、反復帰すなわち反国家であり、反国民志向である。非国民として自己を位置づけてやまないみずからの内に向けたマニフェストである。
かつてこう書いた新川明は、それではなぜ、琉球民族独立総合研究学会の発起人に名を連ねたのだろう。そういう疑問が生れる。他のものにも当たる必要がありそうだ。