中国国家がいかに中華思想に囚われているか、それを「切ない宿命」とまで言って説いている本。一点の迷いも留保もなく、ぐいぐい押してくる。
「中華に恭順する朝鮮、反抗するベトナム」という来歴がよく分かったし、それは現在にも当てはまることにも驚かされた。歴史は終わったわけではなく、歴史のなかにぼくたちも立たされているのを知らされる。
でも、もっとも驚いたのは奥付きで、著者の石平(せきへい)氏が、中国生まれで民主化運動に傾倒した人物なのを知ったときだった。琉球処分や安倍外交に対する記述が一方的、というか、内側からみると、どう見えるかという視点が無いのに違和感を持ったが、その理由も合点した。