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Channel: 与論島クオリア
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トーテムの系譜と島人の思考 6

 もう少し緻密にしてみる。「蝶」と「ザン(ジュゴン)」は、トーテムであった段階があったと思う。ジュゴンの骨製の蝶形骨器は、何より雄弁にそのことを物語る。「蝶」は死者精霊として、「ザン」は「胞衣、兄妹」の意味を担った。...

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トーテムの系譜と島人の思考 7

 北琉球弧のトーテム遷移を手がかりに、宮古、八重山の遷移を類推してみる。 ここでは蝶形骨器は出土していない。それは、「霊魂」について「蝶」を媒介しなかったからだ。なおかつ、「霊魂」の発生が北琉球弧より位相として遅い。刺青のデザインをみる限り、それは貝をトーテムとした後に、「苧麻」がトーテムとなったとき、「苧麻」を霊魂としてみたと考えられる。...

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トーテムと刺青文様の分布

 トーテムの系譜を軸に、琉球弧の南北の刺青文様の分布を見てみる。 北の琉球弧では、「貝」と「蝶」の文様が顕著だ。そして「蟹」や「アマン」は潜在化している。対して南では、「貝」と「苧麻」が顕著で、「蟹」も顕在化している。 興味深いのは、母系社会の痕跡が希薄な宮古で「蟹」が顕在化していることだ。 この分布は、文様の開発が行なわれた時期を示唆している。

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刺青の発生と継承

 琉球弧の南北では、刺青の発生にもズレがある。 北では、発生の可能性は、「蝶」を霊魂と見なした段階に遡る。このときであれば、トーテムの座である左手の尺骨頭部の文様はザン(ジュゴン)だったことになる。継承されて現在に伝えられたのは「貝」だが、「ザン-蝶」の可能性をゼロにすることはできない。 南では、「苧麻」にトーテムと霊魂を見出したときに、刺青も発生したと考えられる。

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画期の時期

 自分でも忘れてしまうので、精神史の画期について、根拠を示しておく。  あいまいさを残しているのは「苧麻」だ。ここは、南琉球弧で、「苧麻」トーテムに「霊魂」を見出したとき、「貝-苧麻」で刺青デザインを構成したのと同じ位相で捉えていることになる。

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マブイ(霊魂)は、ハベラ(蝶)のメタモルフォース形

 酒井卯作は、琉球弧の霊魂概念について書いていた(『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。...

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「井戸ヌパタヌ子蛙誦言」(西表島)

 西表島の「井戸ヌパタヌ子蛙誦言」の第一節。1.井戸ヌパタヌ アブダーマ パニバムイ トゥブケー バガケラヌ生命(イヌチイ) 島トゥトゥミ アラショウリ 翅がはえて飛ぶのは「蝶」だ。これについて、以前は、「蛙」はトーテムであり、「蝶」は人間の死後の姿だから、ここには、中間の「人間」が省略されていると見なした。(参照:「「井戸ヌパタヌ子蛙誦言」の化身の法則」)...

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トーテムの系譜と島人の思考 8

 北琉球弧と南琉球弧の「トーテムの系譜と島人の思考」は、「蝶」と「苧麻」の差として言うことができる。北琉球弧の場合は、人間の化身態(生者と死者)である「蝶」を媒介にして「霊魂」を思考したのに対して、南琉球弧では、「苧麻」がトーテムとなるのを待って、「苧麻」を媒介に「霊魂」が思考されている。この位相の差は、南琉球弧における霊力思考の強度がもたらしている。

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ミタマとミカケ

 「和名類聚抄」の十巻本の巻一、「神靈類第十六」の「霊」の項を見ると、 靈 四聲字苑云、郎丁反。日本記云、(美太萬)。一云、(美加介)。又用魂魄二字。(「国立国会図書館デジタルコレクション - 和名類聚抄 20巻」) とある。 ここでいう「美太万(ミタマ)」はぼくたちの言葉でいえば、霊力。「美加介(ミカケ)」は「御影」のことだろう。霊魂のことだ。...

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刺青の「霊力内霊魂」と「独立霊魂」の位相

 奄美大島や徳之島の手首内側に描かれた「蝶」の刺青は、「霊魂」としては独立しておらず、「霊力内霊魂」だと見なされる。それは「蝶」を介して霊魂を思考したときに、発生の契機を持つ。 一方、手首内側に描かれずに右手尺骨頭部のみに描かれた「蝶」は「独立霊魂」と見なせる。それは、ジュゴンの骨で作られた蝶形骨器の終焉とともに発生したと考えられる。母系社会の出現とともに、霊魂は独立したのだ。 

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「歌の発生」(吉本隆明) 1

 吉本隆明の「歌の発生」の書き出しは唸らされてしまう。 神話の物語や歌謡には、物語ること歌うことが、実際の行為と区別できなかった時代が埋もれている。 もちろんぼくたちは、「物語ること歌うことが、実際の行為と区別できなかった時代」を、実際の行為と同じであった時代と言い換えることができる。...

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「神に守られた島(新連載)」(中脇初枝)

 沖縄戦の始まったころの沖永良部島という舞台設定が面白いのだが、まず登場人物がすべてエラブの童名なのに目が行く。 トラ、マチジョー、カミ、ハナ、ヤンバル、ユニ、マチ、ナーク、ナビ。 カミには「瓶」の字が当ててあり、ユニは男性だ。ユニという童名は沖永良部島にもあったわけだ。ヤンバルが童名になっているのも興味深い。...

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「歌の発生」(吉本隆明) 2

 吉本は和語の本性に近づくために、として「和語のいいまわしを純粋に保存しているわが南島の歌謡」を参照している。 南七ヌ島カラ  パイナーラの島から 水本ヌ島カラ  水本の島から 石雨戸ユ  石の戸を ハネアケ  はね開け 金雨戸ユ  鉄の戸を キリアケ  切りあけ 黒ミヤガリ  黒き雲 給ボウラレ  給われ 白ミヤガリ  白き雲 給ボウラレ  給われ 海ナラシ  海鳴らし 給ボウラレ  給われ...

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「歌の発生」(吉本隆明) 3

 吉本は、「語り文がいかにして律文化韻文化をうけるか」ということについて、二つの初原を挙げている。 「口大(くちふと)の尾翼鱸」。尾翼鱸は、尾びれの立派なスズキという意味だと思う。...

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「歌の発生」(吉本隆明) 4

 吉本隆明は、記紀の地文での、「韻律化された成語・成句・成文・律文・韻文」の例を、見る限り丹念に取り上げている。律文と韻文のちがいを身体が覚えるように、ひとつずつ挙げてみる。 律文 朝日の直刺す國 夕日の日照る國なり 韻文 是の夕べに觀覧(はるかにみはるか)せば、鉅野墳腴(おほのうぐもちこ)え 平原瀰(ながきはらひも)く迤(の)び、人の跡罕(まれ)に見え 犬の聲聞ゆること蔑(な)し...

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「麦つき唄から」(柳田國男『故郷七十年』)

 柳田国男はオヤについて、書いている。最初オヤとは、生みのオヤという今日の「親」ではなく、一つの集団、例えば職人らのいうオヤ方とか、博徒らの使うオヤ分のように、古くからあった親族・一門のカシラという広義のものではなかったかと思うのである。生みの親などという肉親の関係は、それより後になって使用されはじめたのではあるまいか。(「麦つき唄から」) これを入口に、柳田はオヤの分布を書く。...

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『対人関係の心理学: 親密な関係の形成・発展・維持・崩壊』

 こんなことに頭を使うのもなんだかなだが、へーと思ったことがあった。 友人関係や恋愛関係のケミストリーでは、「態度の類似性」が魅力を生み出す。態度が類似していると、「合意による妥当性確認」が得られ、「自分が大丈夫と安心したい欲求が満たされる」。...

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宮古島の霊魂観 3

 宮古島のマウは、マブイ由来なのか、フー(運気、呼気)由来なのか。 少なくとも、音韻の変化からはどちらとも決定できない(mabui>mauui>mau、huu>muu>mau)。 しかし、ぼくたちはすでにマブイが、ハビラ(蝶)由来であるという仮説を立てている。宮古では、霊魂は「蝶」に由来していなから、この側面からいえば、マウ神の「マウ」は、「フー」由来だと見なせることになる。...

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宮古島の霊魂観 4

 岡本恵昭(「神がかりの諸形態」『平良市史第7巻』)の記述をもう少ししつこく追ってみる。 こう整理してみると、「マウ(神)」と呼ばれるものが、フー(運気)と強いつながりを持つ、土地につながる「霊力」を根拠にしていることがよく分かる。個人の死により、マウ神も終わるのも、霊力の原型の意味を失っていない。 この考え方に従うと、「マウ神」は「込める」ものではなく、「つける」ものだということになる。...

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「自己拡張理論」メモ

 『POWERS OF TWO 二人で一人の天才』(ジョシュア・ウルフ・シェンク)で、「自己拡張理論」を知って、吉本隆明の「対幻想」を思い出させる。というより、吉本の対幻想の議論は、アメリカでは90年代に出現したということだ。...

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