面白い記述を教えてもらった。米軍統治下の与那国島で夫が航海に出ているあいだのこと。
よく海岸に行ってヤドカリを探してきたものさ。これは私の旦那、あれはあなたの御主人、こっちは誰々と、ヤドカリに名前を決めておいて、お膳の端に並べるの。そして「いま船はどこにいるの」と訊ねると、無事に航海している時は、ヤドカリがみんな揃ってまっすぐ進む。何かマチガイがある時は、みんなが-ヤドカリよ-まぜこぜになってゴチャゴチャになる。本当にヤドカリの占いは、当たったわよ。
これは素晴らしい。間接的ではあるが、ヤドカリ・トーテムを示唆してあまりある。思うに、生児がトーテムと対面する儀礼があったのではないだろうか。