アラフ遺跡と貝斧
宮古島アラフ遺跡の遠景と考古学者の江上幹幸が発掘した貝斧。これは、モノクロでしか見たことがなかったので、ただ美しさを味わえればいい。(参照:「宮古島アラフ遺跡のシャコガイ製貝斧と利器」(江上幹幸))(「沖縄考古学ニュース - 沖縄県立博物館・美術館」2009)
View Article具志川島の他界
他界発生直後のあの世の場所を確かめてみたい。 前4期の崖葬墓には、具志川島の岩立遺跡が挙げられる。(「具志川島遺跡群発掘調査概要報告書」) 岩立遺跡の位置からすると、遺跡自体は北東を向いているように見える。 そうだとすれば、リーフ内の沖にある離れ(役場に問い合わせたら名はないと言われた)が、あの世の島だったのではないだろうか。...
View Articleシヌグ堂遺跡の他界
宮城嶋のシヌグ堂遺跡は、100mの台地上に立地している。ここからは伊計島を望むことができる(参照:「シヌグ堂遺跡」)。ここには二重の意味があるのではないだろうか。 前5期は、肥厚口縁系の土器になり、サンゴ礁=貝というトーテム理解になる。そこで、立地は干瀬や辺端が意識化され、台地上を選択する。もうひとつは、島人にとっての他界を望めることが重要だったのではないだろうか。 前5期の遺跡立地について、...
View Article伊波貝塚と荻堂貝塚の他界
点刻線文系といえば、伊波式と荻堂式になる。この段階で他界は発生しているから、伊波貝塚と荻堂貝塚の他界が気になる。 伊波貝塚は、「金武湾を見おろす琉球石灰岩丘陵上にある伊波城跡の、東側崖下に位置する」(「郷土の歴史に興味・関心をもたせるための、地域素材を生かした指導法の工夫」)。この場合、他界は「丘陵」あるいは、金武湾のサンゴ礁辺りということになる。...
View Article「沖縄島における過去数千年間の自然環境と考古遺跡の立地」(岩井香寿美、河名俊男)
貝塚時代の遺跡立地が整理されているので、引用しておく。(岩井香寿美、河名俊男「[論説] 沖縄島における過去数千年間の自然環境と考古遺跡の立地」「沖縄地理」2008) 前4期の、 丘陵斜面 崖下 海岸からやや内陸の崖下 海岸砂丘 海浜 海岸低地 このバリエーションは、発生した他界の位置と呼応していると考えられる。あるいは、サンゴ礁内のトーテム貝の生息地の位相と同期しているかもしれない。
View Articleヤドカリ・トーテムの背景
沖縄の場合、ヤドカリにトーテムを見る契機は、ゴホウラが担っていたと考えられる(参照:「ヤドカリ・トーテムの発生とゴホウラ」)。 奄美の場合、どうか。奄美では、ヤコウガイが大量に捕獲されていた。ヤコウガイにはときどきヤドカリのはいった痕跡をのこす殻頂部破片がある。 したがって貝殻の個数を数える場合はヤドカリによって遺跡にもたらされた貝殻のあったことを考慮にいれなければならず、...
View Article蝶形骨器の時代 3
もともと蝶形骨器の製作期間は、金子浩昌の「沖縄縄文時代の蝶形骨製品」にある、「沖縄縄文時代後期から晩期(前二〇〇〇~前四〇〇)」という記述に従ってきた。これは高宮編年に基づくものだ。おおよそ4000年から2400年前ということになる。これを伊藤慎二が置いている年度に当てはめると、前4期から前5期で、3500年前から2500年前となり、少しずれる。...
View Article貝と蝶と麻
前4期の土器について伊藤慎二は書いている。 初頭の「沈線文系」は、「4~6単位のM字状・山形の口縁部突起をともなう例がある」。古段階では様式としての「斉一性」が弱い。刷毛目状整形を行うが、外面側は施文に先立って平滑にナデ消す場合が多い。 前葉から後葉にかけた「籠目文系」では、「4単位の波状口縁と平口縁があり、上面観が四角形状になる例もしばしば存在する」。内外面とも刷毛目状の整形を行う。...
View Article「前4期における奄美諸島の土器様相」(新里亮人)
新里は、奄美の前4期土器について、第1文様帯と第2文様帯に分けて、その変遷を整理している。 1.第1文様帯施文土器の使用 2.第1文様帯刺突文区画土器の出現 3.第1文様帯沈線文区画土器の出現 4.第1、第2文様帯施文土器の出現 この型式変化は、「施文原理の多様化」が指標になるのではないか、と新里は書いている。 これを島人の思考からみれば、こうなる。...
View Article「あの世」の展開
他界発生以降の「あの世」をシミュレーションしてみる。 前4期には、砂丘近くの「この世」1に対しては、リーフ近辺の「あの世」1が対応する。また、丘陵の崖下の「この世」2の場合は、崖上などの「あの世」2が対応する。「この世」2に対する「あの世」2は、隣り合わせであってもよい。...
View Article前4期土器とカラムシ
伊藤慎二は、伊波・荻堂式についてこれほど良好な遺構はない伊是名貝塚の土器を調査し、その施文具について書いている。 1.文様細部に、不規則な歪みや、施文開始・中継・終始部分が極端に緩やかなものがめだつ。施文手法や器面の柔軟さよりも、施文具の素材自体がかなり柔軟性を備えていたためと推測できる。...
View Article「チョウセンサザエ・ヤコウガイの放流再捕事例」(大城信弘)
1998年に放流されたたチョウセンサザエ、ヤコウガイを、おそらく2008年ころに再捕した資料(「チョウセンサザエ・ヤコウガイの放流再捕事例」大城信弘)。 大宜味地先の放流では、「少数ではあるが、ヤドカリや空殻も得られた」。チョウセンサザエも宿貝たりえるわけだ。...
View Article「多良間島の洞穴性および陸性十脚甲殻類」(藤田喜久、砂川博秋)
多良間島で見られるカニその他について(「多良間島の洞穴性および陸性十脚甲殻類」藤田喜久、砂川博秋))。 陸性・洞穴性 ヤシガニ、オカヤドカリ ヘリトリオカガニ、オカガニ、ヤエヤマヒメオカガニ オオカクレイワガニ、カクレイワガニ イワトビベンケイガニ...
View Article籠目文土器と苧麻
長浜金久遺跡から出土した土器を引用する(『長浜金久遺跡 : 第Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ遺跡 新奄美空港建設に伴う埋蔵文化財調査報告書』)。単純に、並べてしげしげと眺めてみたかったのだ。 ぼくたちはこれを、貝と麻と蝶のアマルガムと見なしている。ここで、朝トーテム段階の土器として、すべてを苧麻に回収させてみる。...
View Article無文尖底土系器と蟹 2
下から二番目のシルエットで表されている貝塚時代後1期の「無文尖底土器」について。伊藤慎二『琉球縄文文化の基礎的研究』 この土器が表現しているのは、カニの「腹節」だ。しかも、メスの。メスのカニの腹をみれば、そこに無文尖底系f時と瓜二つのものが見えるではないか。(「カニのオスとメスは、どうやって見分けるの」)...
View Articleカニの腹節
当たっているかどうかも分からないが、ひとまずこういうところから始めるしかない。カニの腹節。 ミナミオカガニ 「田中川の生き物調査隊」 カクレイワガニ 「MIRACLE NATURE@奄美大島の自然」 ハマガニ 「umimame 海を旅する豆。」 この形態を種類ごとにつかめれば、無文尖底系土器が表現したカニが分かるはずだ。 ズワイガニ 「3 成熟と産卵(応用編)」
View Articleヤドカリの見え方
なるべく上からみた図を挙げる。オカヤドカリ。 「ムラサキオカヤドカリ 6cm【沖縄産】」 ・甲まで殻から出している。 「オオナキオカヤドカリ」 ・これも同じく。 「コモンヤドカリ」 ・白の斑点。ヤドカリの主というべき。 「八重山カタログ「アマン(オカヤドカリ)」」 ・これも主の風格あり。 「海辺の人気者 ~オカヤドカリ類~」 ・眼柄だけ出すというのも、よく見かける姿。 「ナキオカヤドカリ」...
View Articleカニの腹節 2
オウギガニを加える(参照:「カニの腹節」)。 ミナミオカガニ 「田中川の生き物調査隊」 カクレイワガニ 「MIRACLE NATURE@奄美大島の自然」 ハマガニ 「umimame 海を旅する豆。」 スベスベマンジュウガニ 「鳥羽水族館(TOBA AQUARIUM)さん@TOBA_AQUARIUM」 これは同時に無文尖底系土器の変遷だと仮定して、検証に入りたい。
View Article無文尖底系土器とカニ・トーテムの変遷
無文尖底土器とカニ・トーテムの変遷 仲原式土器 ・ミニチュア土器 ・胴が張り出し、口縁がゆるやかに外反 ・ナデ主体 ・丘陵台地遺跡出土主体 ミナミオカガニ これは、立地がもっとも雄弁かもしれない。他土器に比べたときの曲線も似ている。 阿波連浦下層式土器 ・「く」字状に屈曲した口頚部 ・外面に光沢を有するほど丁寧に研磨する例 ・屈曲部に外耳貼付や突帯文 カクレイワガニ...
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