「ニライカナイの原像」5
8月10日の「ニライカナイの原像」に向けて、ニライカナイをモチーフにした作品を渉猟してみているのだが、その原像に呼応するものになかなか出会えない。ニライカナイ雰囲気作品や気分作品はあるのだけれど。 これかなと思えたのは、こんな発言だ。50年前、初代ウルトラマン撮影当時に、金ちゃん(金城哲夫)の口から、ニライカナイという不思議な響きの言葉を聞いたことが確かにありました。(「「ウルトラマン50年」...
View Article「ニライカナイの原像」6
8月10日の「ニライカナイの原像」で、安斉紗織さんの彩色写真を紹介できることになりました。 たとえば、「太陽の花」。実際の写真に手で色を施していくというのが彩色写真で、安斉さんが始めた方法です。...
View Article夫婦岩と神石、太陽の穴
どこのことを言っているのかを把握するためのメモ。地元の人にとっては自明のこと。 二見浦のすぐ隣り、神前(こうざき)(荒埼)の洞門の潜(くぐり)門。岬のところの穴は太陽を受け止める役割を持っている。石鏡(いじか)の沖に位置する島に太陽を受け止める穴があったという伝承がある(目崎茂和)。 目崎はこれを「太陽神の原形」と仮説している。...
View Article『つくられた縄文時代』(山田康弘)
『珊瑚礁の思考』は、文字なき時代の琉球弧の精神史を扱った。「文字なき時代」が知りたいと思っている世界のキーワードだと考えたからだけど、探究は文字ある時代に行きつくはるか手前で終えている。それは、高神(御嶽の神)や来訪神といういわゆる神の出現が、「文字なき時代」らしさの終わりを告げていると感じたからだ。...
View Articleシャコ貝の葬法の位相と猿田彦
木下尚子によるシャコ貝を伴う葬法を整理してみる。 1.シャコ貝が葬法に伴う。・数個の大型シャコ貝が、岩陰墓内の一・二次葬に伴う。他の貝は用いられず、シャコ貝のみを用いる。 2.縄文晩期から弥生時代併行期・大小のシャコ貝が地上標識や地下の遺体に伴う。使用率も4割を越える。装具としての定着。身体上の貝のむきや位置も意識されている。...
View Article「世界の神話とサルタヒコ」(吉田敦彦)
吉田敦彦は、サルタヒコが「杖」でも「矛」でもあることを突き止めている。たとえば「矛」の場合、オホクニヌシは国譲りする際、「日本書紀」の神代の第九段では、「国平(ひ)けし時に杖(つ)けりし広矛」と、杖のようについて国づくりをした広矛を献上したと言われている。 「本体がもともと杖であるフナトの神と、この矛とは(中略)実は同じものではないか」。...
View Article「世界の中の日本の宗教」(梅原猛)
「ニライカナイの原像」の日が近づいてきているところで、梅原猛の『日本人の「あの世」観』を視野を届かせておくことにする。「世界の中の日本の宗教」という講演録だ。1988年のものだから、もう28年前のものではある。...
View Articleサンゴ礁時代の関係図
おいおい修正していくとして、サンゴ礁時代の関係図をスケッチしてみる。 こうしてみると、サンゴ礁ができて新たに加わったのは、太陽神の化身としてシャコ貝を見い出したことにあると言えそうだ。
View Article『縄文人の世界観』(大島直行)
大島直行は、M・エリアーデが周期的再生のシンボルとして、「月-雨(水)-豊穣-女性-蛇」という文脈を見出したのを引き、これが農耕社会を前提としたものであることから、「豊穣」を抜き、「月-水-女性(子宮)-蛇」を、縄文人の再生のシンボリズムの中核として抽出している。...
View Article「南方世界のサル-サルタヒコ神話の基層を探る」(後藤明)
サルの宝庫である東南アジアの神話では、「猿は地上の人間の片割れ、特に樹上の片割れ」として現われる。地上・上部の存在という性格から、猿と雷神との関係も生まれるのだろう。 奄美ではケンムンが貝に挟まれる理由が分かる。 「猿とジュゴン」では、「夫婦ないし家族の間に不和が生じ、父親がジュゴン、母親ないし娘が猿になってしまった」という民話がある。猿は男女どちらでも変身しうる。...
View Articleトモカヅキと猿田彦森
荒俣宏は、海女に伝わるトモカヅキの伝承を紹介している(「サルタヒコが白かったとき」)。海女たちはトモカヅキという妖怪に襲われてしばしば溺死する。トモカヅキは「伴に潜(かず)く」を意味する。海女が潜っていると、もう一人の海女がアワビを採っている。近づくと、その海女が手にしたアワビを差し出す。うっかり受け取ると、相手の海女に手をつかまれる。見ると、自分にそっくりの海女。おうして溺死させられる。...
View Article『伊勢神宮の原像』(鳥越憲三郎)
鳥越憲三郎は『伊勢神宮の原像』(1973年)で、サルタヒコがアメノウズメに「負けて」道案内するところで、琉球の「鬼持ち伝承」を引いている。 「女陰は鬼を食う力を持っている」という同じ伝承が本土にもあって、それが神話にとり入れられたというわけだ。 サルタヒコとアメノウズメの出会いの場面で鬼餅伝承が引かれるのが面白いポイントで、サルタヒコの最期でも反復されることになる。...
View Article「ニライカナイの原像」スライド(「珊瑚礁の思考カフェ」第4回)
8/10の「ニライカナイの原像」のスライドです。海の彼方にあると言われるニラカナイははじめからそうだったのではなく、初期には身近な島や地下にあったこと、そしてそこには神話的な折り重ねられていることがお伝えしたかったポイントです。そのことを念頭に見ていただければ、ある程度内容はつかめると思います。...
View Articleウンジャミ・スク・キラハニ
スクは、大きさから小型を「ウンジャミ」、中型を「スク」、大型を「キラハニ」と呼ぶ(宮城幸吉「スクおよびスクガラスについて」)。 ウンジャミ 海神 蛇 キラハニ 太陽の羽 太陽(シャコ貝) スク サンゴ礁の子...
View Articleサルタヒコとアメノウズメの特徴の由来
落ち着きの悪い図だが、サルタヒコとアメノウズメを蛇と太陽(シャコ貝)の子として位置づけてみて、その属性や行動、機能の由来をイメージしてみたい。 これらはその由来の多くをシャコ貝に依っているように見えるのが、母系社会を暗示して面白い。 1.生命の源(太陽) 2.境界(子宮) 3.先導(胞衣) 4.開く(性) 5.魔除け(十字)...
View Article『ウズメとサルタヒコの神話学』(鎌田東二)
著者の鎌田東二の意図と違うが、縄文の心として復元してみたいものを挙げてみる。 かつての「あの世」とその境界部がはっきり分かるのは、伊勢の興玉神社だ。猿田彦大神が降臨する場所として「神石」がかつての「あの世」であることを示している。また、これは伊勢志摩に存在するかつての「あの世」の多数のなかのひとつだ。 加賀の潜戸の「的島」が候補として挙げられる。的島に対する信仰を調べてみることになる。...
View Articleムナカタ族の三人の女神
「アヅミの神道」(中沢新一)から。 アヅミは、多くの南方系海洋民と同じように、「3」という神聖な数字をもとに、世界を分類し、思考している。(中略) ムナカタ族の場合、海神は三人の女神(宗像三女神)となってあらわれ、海上はるか彼方の沖津宮、中ほどの中津宮、海岸部の辺津宮が、それぞれの御在所とされている。よくよく海人は三元論が好きである。...
View Article「世界の神話とサルタヒコ」(吉田敦彦) 2
吉田敦彦の「世界の神話とサルタヒコ」。 イザナギが、雷たちを退散させた後、杖を投げつけて、「ここから先へは来れない」として、「これを岐神(フナトノカミ)と言う」(『日本書紀』神代第五段第九番目の一書)。また、イザナギは大きな岩で黄泉平坂を塞いだあと、イザナミに「ここから先へ来てはいけない」と言って投げた杖も「岐神(フナトノカミ)と言う」としている。...
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