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Channel: 与論島クオリア
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『珊瑚礁の思考』書評(酒井正子)

 4月9日の沖縄タイムスに『珊瑚礁の思考』の書評が掲載された。照れくさいので放っておいたが、再掲することにした。厚かましいことだが、無名の書き手はこうするより知ってもらう手立てがないので、ご容赦ください。 いちばん嬉しいのは、やはり表題の「「琉球弧が生んだ」という箇所だった。 「琉球弧が生んだ文化論」...

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「貝塚時代後期土器と貝符」(中村直子)

 「貝塚時代後期土器と貝符」(中村直子)から、「貝符」の思考について、おおよその見通しを立てておきたい。貝塚時代後期の中ごろ、弥生時代後期~古墳時代並行期の「貝符」と呼ばれるイモ貝に彫刻を施す、装飾性豊かな遺物が北部圏から中部圏に広がっている。貝符は、アクセサリーや埋葬などに使用される儀礼用の道具として用いられている。...

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『これからの琉球はどうあるべきか』

 「琉球」と枠組みを広くとっているのに「奄美」話題はほとんど出ないというのが相変わらずの不満だが、読み応えのある内容だった。 議論は多岐にわたるので、心にとまった言葉をメモしておく。 安里英子...

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「土偶」をつくるということは。

 土偶をつくるには、自分の身体を、自分の外から見ているイメージを持つことが必要になる。たしかに人間は、動物や人間を見るとき、いまのぼくたちと変わらない視覚像で見ていたには違いないけれど、それと「土偶」をつくる、つくれるということは別のことで、自分の身体を思い浮かべられることを通じて、「土偶」をつくることができるのだと思える。...

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岩崎卓爾「明和の大津波」録

 岩崎卓爾が写しとった明和の大津波。 1771年の石垣島。朝八時ごろ、やや強く地面が震えると、海潮が遠くへ退き、青、緑、紅、紫の熱帯の色彩がまばゆい大小の魚たちが珊瑚樹が入り組んだ切り株に跳びはね、女性や子供たちが捕まえて、海の秘密はことごとく暴露された。しかし、島人たちは驚異の念が一層加わり、この世の倒壊の暗示に違いないと、落ち着かず、皆岸辺に集まった。...

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「いとうみはやみり」と「暇乞い」 3

 たまたま『王府おもろとウムイ』を聴いていたら、なかば諦めていたものを偶然、見つけた。 「ながり送(うーく)んざくぬウムイ」だ。 ゆかてぃさみ 間切祝女や 鐙引ち遊ぶ 我どぅ ニレー神ゆ ザンぬ 口取やい  暇乞(いぅとまぐ)い 「ジュゴンの 口を取って...

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ジュゴン儀礼の幻視

 食べるということは、食べられるものと一体化するということ。「獣の腹の中にいた者は、そこから帰還したとき、呪術的な能力、特に獣に対する支配力を授けられるのである。帰還した者は偉大な狩人となる」。つまり、「獣がその手に身を任せる」ということ。 この思考が農耕の段階になると、「大蛇の腹の中で大地の稔が発見される」ことになる。...

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「沖縄採訪記」(折口信夫)

 折口信夫の「沖縄採訪記」から気になる箇所をメモ。 大宜味村、塩屋。あさぎから神人の通う「神道」は、常でも牛を通さぬことになっている。 これは人は通っていいということだろうか?海神は、塩屋から送ると、古宇利島では迎えることになっている。 神の送り、迎えのリレー。...

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ザン、ジャン、ダーン、ザノー

 前に、ザンの音韻変化について、次のように仮説した。(cf.「ユナ・ユウナ・イノー・ザン・イヤ」) ザン(zan) ジュゴン ・yunanuiyu → dunanuiyu → duanuiyu → zuanuiu → zanuiu → zan(zyan) 宮良当壮の「八重山語彙」では、与那の「ダーン」、西表の「ザノー」も記されているので、仮説をもう少し先まで進めてみる。 ・yunanuiyu →...

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「奄美のシマと神女」(山下欣一)

 山下欣一は、「奄美のシマと神女」のなかで、「高い島」、たとえば奄美大島の地勢に触れている。険しい山々が海に迫ってそびえており、谷間の海岸に向かって、人々の住むシマがある。(中略)シマは、このように、三方を険しい山々に囲まれ、谷間に流れる川を中心に形成される沖積台地上にかたちづくられているのがほとんどで、前面に海を望む構図をとるのがふつうである。...

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『アイヌと縄文』(瀬川拓郎)

 瀬川拓郎の『アイヌと縄文』。いたるところで、琉球弧の対応させることができるような気がした。単純に似ているというより、時代変化の契機、習俗が呼応している。「アイヌと琉球」というテーマで両者を比較したら、お互い同士、精神史を立体化できる感触。ぼくがそこまでやれるか、分からないけれど。...

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トゥマ島とみみらくの島

 トロブリアンドの島人にとって、「あの世」の島であるトゥマ島は生活の場でもあることをマリノフスキーは書いている。 生活の場としてのトゥマは、キリウィナの原住民たちがときどき出向く村である。トゥマ島とその隣りの島々では、海亀の甲羅や、大きな白い子安海(Ovulum...

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針突き・メモ

 町誌の追補に向けた文章のための「針突き」メモ。 ハズチ(喜界島、徳之島)、ハズキ(大島)、ハンジチ(沖永良部島)、パンジキ(与論島)、ハジチ(沖縄)、ハイズツ(池間島)、ピズツク(宮古島)、パズツク(多良間島)、パイツキ(水納島)、テイツク(八重山)、パルツク(黒島)。 指輪のたかみ 指している間のかたみ 我手にある入墨 あの世までも(那覇)...

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『日曜日、すずは口笛を吹いた』にみる縄文の思考

 2年前、試写会のように短編映画『日曜日、すずは口笛を吹いた』を観たとき、いかにも現代映画なのに縄文的なものが散りばめられているのに驚きました。当時、『珊瑚礁の思考』に取り組んでいる最中だったので、思わず監督にマイ・フレンドと呼びかけたくなったくらい。...

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蝶形骨器・針突き・貝符

 資料を見る前に直感的に比較してみたい。 「蝶形骨器」の記憶は、貝符に引き継がれているだろうか。まず弥生時代後期後半に位置づけられている貝符の祖形について、これは「蝶形骨器」から継承されたというより、蝶の形からのものだが、胴体部と翅、上翅と下翅の区切りは意識されている。...

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蝶形骨器・針突き・貝符 2

 設楽博巳は、「縄文時代のイレズミ」の存在について、黥面土偶から類推している。引用しているのは、縄文晩期(前9世紀)に栃木から出土したものだ。縄文時代後期には、仮面の出現が考えられているので、「黥」にしてもそこまで遡れる可能性を持っている。 縄文時代後期 4500年前 縄文時代晩期 2900年前 一方、金子浩昌は、「蝶形骨器」の製作期間を、 貝塚時代前3期中盤 4000年前~ 貝塚時代後1期前半...

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「広田遺跡と貝符」(木下尚子)

 木下尚子は、広田遺跡と南島の貝符を比較して、南島では、加工技術は「貝殻を自由に割りとり複雑な形状をつくり出すことに向けられ、これらの表面に彫刻を施す方向へは向かわなかったようである」と指摘している。...

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「蝶・獣形製品と土器の相似」

 伊藤慎二によれば、土器編年と明確に対応可能な蝶・獣形製品の編年は、資料的制約から、現在のところ困難(「琉球貝塚文化における社会的・宗教的象徴性」)。 しかしながら、伊藤が注目するのは、蝶形製品の上縁部の形態は、左右対称の波上に角ばった突起部分が連なる。これは、前Ⅳ期の「土器の口縁部に酷似する」。そこで伊藤は言う。...

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「蝶形骨器」と「貝符」のあいだ

 蝶形骨器と貝符の編年を対照させおこう。金子浩昌「沖縄縄文時代の蝶形骨製品」(2014)木下尚子「貝製蘇ぷシングからみた広田遺跡」(2004)...

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「貝製装身具からみた広田遺跡」(木下尚子)

 広田遺跡で埋葬された157体の人骨に伴っていた貝製品は、総数約44000個、総重量約24kg(『考古資料大観. 第12巻』2004)。平均してもあまり意味はないが、これは280個/人にも及ぶ。A:連結式装身具 ・連結用に小孔を複数個もり、単独あるいは複数個を連ねて着用される装身具。B:副葬品 ・着装用の孔を持たず、人骨上に置かれていたもの。...

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