「地上の他界」とは何か
「地上の他界」について、棚瀬襄爾は以下のように整理している(『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』)。 恒久的な死霊の住所としての地上の他界。 どこにでもいる(バイニング族)、ここかしこの周囲の空中(ミミカ地方)、森や岩のなか(アルフール族)、死霊の入る岩を崇拝(ザンバレス・ネグリト)は、原始的な他界観念の形態。...
View Article『日本霊性論』
気づいてみれば、霊力思考と霊魂思考について考えることは、「霊性」について考えることなのだった。「聞こえないメッセージを聞きとろうとする構え」が祈りの基本的な姿勢だと僕は思います。合掌してセンサーの感度を高めている。...
View Article流動的で転位が可能な霊魂観念
棚瀬襄爾によれば、マライシアにおいては流動的で転位が可能な霊魂観念が見られる(『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』)。 要約しているポイントを琉球弧ソバージュに引き寄せてみる。・樹上葬、台上葬を行う種族では、死汁塗沫、弔葬儀礼としての食人習俗があり、霊質観念の原型を見せ、遊離霊的生命霊としては精霊児や再生信仰に見られるように原質的な生命霊の観念を持つ。...
View Article病気や死に悪霊が関与する南太平洋例
念のために、南太平洋から、病気や死に悪霊が関与する例を拾ってみる。(cf.『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』棚瀬襄爾)。事例1.クラマン族(ミンダナオ島)...
View Article琉球弧ソバージュの葬法の三角形
ここで、琉球弧葬法の三角形を更新しておく。 まず、想定としては、埋葬を行った最古層の種族を仮定する(1)。同時に、台上葬的な埋めない葬法を置くことができる(2)。これをぼくたちは言い習わしに従って風葬と呼ぼう。...
View Article琉球弧ソバージュの他界や葬法理解のための南太平洋例
棚瀬襄爾の『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』から、琉球弧ソバージュの他界や葬法にアプローチしてみる。【1】居住地としての洞窟 事例1.シタラ・ワニヤ族(セイロン島)。...
View Article松島泰勝『琉球独立論』を読む
11月8日に同志社大学で開かれる書評会、「松島泰勝『琉球独立論』を読む」に、発言者のひとりとして参加します。どんな場になるのか、いやそれ以前に、読後感は書いているものの(cf.「『琉球独立論』を読む」)、自分が何を発言するのかさえ見当がつきませんが、新たな出会いや言葉の場が楽しみです。お近くの方がいましたら、足をお運びくだいさませ。
View Article『植民地帝国日本の文化統合』
この本(『植民地帝国日本の文化統合』駒込武、1996年)が書かれた理由、ふたつ。「日本人」という種的同一性(アイデンティティ)の論理のゆらぎというべきものを、異民族という「他者」との関係性において捉えること。そのことを通じて、ナショナリズムを相対化する原理を、近代日本の歴史過程それ自体のうちに見いだすこと。...
View Article『近代アイヌ教育制度史研究』
この研究がなされたのは、著者、小川正人が、「シャモ(和人)としての自分の歴史認識を鍛えたいと考えたことによっている」。「和人」ではなく「シャモ」という用語を用いるのは、贖罪意識からではなく、歴史的な用語として借用したいからだと断っている。...
View Article『革命のつくり方』
台湾の「太陽花運動」を革命という言葉で捉えるのは、それが革命のつくり方を示し、実行し、成功したからだと、著者の港千尋は書いている。 国会が学生によって占拠されたのは中華民国史上初めてのことである。もちろん現代史において、かくも長期にわたり国会を若者が占拠した事例は稀である。わたしはこの驚くべき事態を目の当たりにして、そこに革命の可能性を感じた。 革命の革命的なつくり方を見たように感じたのである。...
View Article参照用「仮面儀礼」一覧
今回の関西行きでは、国立民族博物館の「イメージの力」展を楽しみにしている。東京での展示を見逃してしまっていた。 そこで、さわりだけでも把握している仮面たちを参照用に整理してみた。
View Article洞窟の向こうの地の底
よく知られたラスコーの洞窟壁画のなかで、奥の小部屋のさらに奥まったところには、傷ついて内臓を出したバイソンと仰向けに倒れた男が描かれている。そのそばには、シベリアやアメリカ先住民のシャーマンの道具として知られているのとよく似た、鳥を頭部にした杖が転がっているのだが、考古学者はこの絵画を死を主題にしたものだと考えている。...
View Article地下他界としての琉球弧
琉球弧では、地の底にある地下の他界の思考は、来訪神儀礼を通じた痕跡としてしか見出せない。そこで、棚瀬襄爾の『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』から、地下の他界を持つ種族を探してみる。オセアニアの島々とはいえ、純然たる地下他界を信仰する例は潤沢なわけではないのだが、他界観念に限らずに琉球弧と似ていると感じさせるのは、ニューギニア東部の小島に住むタミ族だ。...
View Article埋葬思考と風葬思考の混融
棚瀬襄爾は、マレーシアにおいては、死霊がイメージ化された霊であるのに対して、「霊質」が「身体またはその部分と共に共存し、流動的で転位が可能」であるものとして考えられていて、「異常な発展」をしていると指摘している。棚瀬が挙げているのはマレー半島のバタク族の例だ。...
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