あやまる第2貝塚の貝類
あやまる第2貝塚の貝類。 貝の構成からみて、コモンヤドカリ段階と考えられる。 各層ともにヒメジャコが出ていない。サラサバテイラも定番ではない。指標になる貝は別にあるのだと思える。5層のフドロガイも、コモンヤドカリをよく示している。...
View Articleスセン當式と兼久式の地母神
奄美の貝塚時代後期は、阿波連浦下層式の次に沈線文脚台系になったとされている。トーテムからいえば、これはツノメガニからコモンヤドカリ段階になったことを意味する。(宇宿港) つまり、沈線文脚台系の形態は、アカジャンガー式に先んじてヤドカリを表現したものだ。この宇宿港の土器のシルエットにしても、蟹に比べて長いヤドカリの腹部がよく捉えられている。...
View Article用見崎遺跡のヤコウガイ
奄美大島の用見崎遺跡から出土したヤコウガイは、「破損」形態について、次のように類型化されている。(「考古学研究室報告 第33集」) ヤコウガイは、ヤドカリの化身貝であり、とくに腹部を示すものだから、上の類型はヤドカリの大きさを示すものだ。左が成体であり、右へいくほど幼体ということになる。 A:殻長18.0cm以上 B:殻長15.0~17.9cm C:殻長14.9cm以下...
View Article「沖永良部島のゴホウラ貝輪未製品資料」(新里貴之)
沖永良部島の西原海岸で貝輪につながるゴホウラが採集されている。 「外唇部や結節部をほとんど残した状態で、ほぼ全面に研磨加工を施すという状況は珍しい」として、新里は「ここまで手間をかけて加工し、かつ十分に背面貝輪になり得るものを廃棄するとは考えにくい」としている。...
View Article北原貝塚の貝類とヤコウガイ
久米島の北原貝塚は、土器からは大当原期とされているが、貝類からもオウギガニ段階と判断できる。(「北原貝塚」より作成) オキナワヤマタカマイマイに見ているのは、カノコオウギガニではないだろうか。 北原貝塚からは、「杓子状」とされるヤコウガイが出土している。 この割り取りは、オウギガニ段階の表現である「胞衣」を示している。それは、奄美大島北部のヤコウガイとも同期している。...
View Article宇佐浜B貝塚の「ヤコウガイ製匙(未製品)」
宇佐浜B貝塚からは、「ヤコウガイ製匙(未製品)」が出土している。平均9.1~11.5cmの「略長方形」で深さはそれほどない。研磨はない。下図のいちばん上の小さなものだけが研磨を施されているが、どの層からのものかは報告書に記載がない。「柄の部分の破片」と見なされている。...
View Article犬田布貝塚の「貝匙」
徳之島犬田布貝塚からもヤコウガイ製の「貝匙」が出土している。 報告書では、真珠層のみ残したもの、外皮を残し縁辺に丸みを持つもの、加工跡が観察できないものに分類している。分布は次のようになる。(『犬田布貝塚』より作成) ぼくたちは、3層をミナミオカガニ段階と見なしている。外皮を残し、加工跡も認められないものが多いのは頷きやすい。蟹の腹節だと見なせるからだ。...
View Article具志原貝塚の「ヤコウガイ製匙状製品」
伊江島の具志原貝塚からも「ヤコウガイ製匙状製品」が出土している。 報告書では、3点は、「柄部あるいは身部のみの破損品である」としている。ぼくたちは具志原貝塚は、コモンヤドカリ段階と見なしている。コモンヤドカリ期に「胞衣」の思考があるのは奄美に限らないということができる。
View Article喜界島荒木貝塚の貝類
喜界島荒木貝塚の貝類。 マガキガイが出ないのは他の貝塚と似ていないが、カワラガイを1位とし、カニモリ類が続く構成は苧麻段階だと言える。伊礼原E遺跡とは似ている。 「サンゴ礫」が印象的であるとともに、「植物の根」は苧麻を想定させる。...
View Articleナガラ原西貝塚の貝類
伊江島の教育委員会、玉榮さんから「伊江島ナガラ原西貝塚」を送っていただいた。感謝。 ロ地区AトレンチのⅢ層の貝類を挙げてみる。 大型の貝類しかカウントされていないが、これはオウギガニ段階の貝類だ。(ヒメジャコ)>(サラサバテイラ)は、ムラサキオカヤドカリ段階を思い起こさせるが、ヒレジャコ、シャゴウと扇型の貝が続き、クモガイも上位に位置する。下層の方でもこの傾向は変わらない。
View Articleナガラ原西貝塚のゴホウラ
試みの域を出ないが、ナガラ原西貝塚から出土しているゴホウラについて、図に起こされているものを類型化してみる。ナガラ原西貝塚は、オウギガニ段階と見なせるが、貝はその化身態であり、島人もその化身態であるという視点を置く。1.扇型(4)2.鋏(5)3.扇型×鋏(3)4.扇×手(32)...
View Article久米島大原貝塚A地点のゴホウラ
久米島の大原貝塚A地点の貝類。Ⅰ~Ⅲ層で大きな構成の変化は見られないので、シンボリックなⅡ層を取り上げる。(「大原:久米島大原貝塚群発掘調査報告告」より作成) ベニシリダカに象徴されるように、これはツノメガニ段階の貝類だ。土器は、宇佐浜式、仲原式とあるが、トーテムはオカガニの段階(仲原式)を過ぎていると思える。...
View Article北奄美のヤドカリ段階移行
兼久式土器の年代値は、前半と後半に分けられると指摘されている(名島弥生「放射性炭素年代から見た琉球列島における考古学的時期区分の現状と課題」)。 約1700~1300BP(cal AD325~723):小湊フワガネク、用見崎、土盛マツノト 約1200~1100BP(cal AD772~1018):川嶺辻(無文化)...
View Articleスセン當式段階のヤドカリ・トーテム
スセン當式と呼ばれる奄美の土器。(与路砂丘、スセン當、フワガネク)(西原海岸) これらの曲線を主体にした施文は、ベニワモンヤドカリの背部に着目したものではないだろうか。西原海岸の口縁部は、白い前甲とその横の脚のように見える。(『ヤドカリのグラビア』)...
View Article「先史奄美のヤコウガイ消費」(木下尚子)
再度、「先史奄美のヤコウガイ消費:ヤコウガイ大量出土遺跡の理解にむけて」(木下尚子)を取り上げてみる。 これらの貝塚で、ヤコウガイの大きさ(殻径)にもっとも相関が高いのは貝塚の標高だ。つまり、標高が高いほうがオカヤドカリも大きいということだ。...
View Articleヤコウガイの貝匙は、ヤドカリの甲と腹部
ヤコウガイの「貝匙」と呼ばれているもの。 ヤコウガイは、ヤドカリの化身貝であり、殻の部分は腹部に当たる。その端の柄に見えるところは、ヤドカリの甲だ。 ベニワモンヤドカリをベースにすれば、 白い甲の部分をひっくり返して腹部につけてみるといい。これが、デザインの素になっている。...
View Articleトーテム編年仮説
これから提唱していきたいのは、琉球弧のトーテムによる編年だ。 なぜ、トーテムによる編年が可能かといえば、トーテムが土器や貝などの遺物に表現されているからだということになる。北琉球と南琉球で時代を対応させているのは、時間軸ではなくトーテムとして同位相のもので照応させたものだ。
View Articleトーテムとイモガイの殻長
イモガイ集積のイモガイの大きさとトーテムを対応させてみる(数値は殻長の平均)。 トーテムは、貝類から判断している。こうしてみれば、島人は感覚の論理から、殻長、つまりイモガイの大きさもトーテムに合わせているのが分かる。やはり、貝はトーテムであり、人なのだ。...
View Articleスセン當式土器とヤコウガイ「貝匙」
目に触れる機会が少ないので、沖永良部島のスセン當式土器を挙げておく。 また、スセン當貝塚から出土しているヤコウガイの「貝匙」。これは、ベニワモンヤドカリの鋏ではないだろうか。
View Article